研究課題/領域番号 |
15K04451
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
緒方 信行 熊本大学, 教育学部, 教授 (60535714)
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研究分担者 |
松永 拓己 熊本大学, 教育学部, 准教授 (10380990)
関根 浩子 崇城大学, 芸術学部, 教授 (10553589)
水野 裕史 熊本大学, 教育学部, 講師 (50617024)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 美術鑑賞 / 体験型 / 石庭 / フィレンツェ / ブルネレスキ / ギベルティ / 熊本地震 / シンポジウム |
研究実績の概要 |
本研究は、子ども達が制作者や審査員、学芸員などの立場になるなどして、具体的な視点から美術作品に対峙していく体験を通しながら、美術的諸能力を高めていく新しい美術鑑賞授業法である。 昨年度は、石庭の鑑賞授業を中心に研究を進め、教材開発として「石庭をつくる」を開発し、「ミニ石庭セット」も考案し、「どこでも授業セット」として貸し出し可能な教材セットの開発を行った。また、そのことに関しての論文も著した。 今年度は、イタリアのフィレンツェで行われたサンジョバンニ礼拝堂門扉レリーフ制作でブルネレスキとギベルティが争ったコンクールを、審査委員の立場になって検証するという鑑賞教材「ルネンサンスのライバル1 -ブルネレスキとギベルティ-」の作成を中心に研究を行う予定であった。 ところが、年度当初の4月中旬に熊本地震が発生した。熊本県内の多くの学校が年間計画の変更を余儀なくされ、検証授業実践は、郡部の中学校1校のみ実施したが、他の学校への依頼は、各校の年間通した遅れからもするべきではないと判断し断念した。また、鑑賞教材「ルネンサンスのライバル1」の裏付けと、さらなる教材開発のためのイタリア渡航取材を予定していたが、これも本学のカリキュラムや行事の変動で、予定を立てることが困難となり、次年度へ廻すこととした。 以上の通り、熊本地震により今年度の研究予定は、その多くを次年度へ先送りすることにしたために、本学の研究推進課科研費担当部署とも相談の上、使途予定の研究費もその多くは平成29年度に繰り越すこととした。授業実践を進めることができず、関する論文を著すこともできなかったが、その分、鑑賞授業の新しい教材づくりに努め、新しい教材を数点開発することができた。また、美術鑑賞における本質に迫るために、複数の講師を招き「美術教育シンポジウム」と称して、昨年度に続き鑑賞教育に関する2回目のシンポジウムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熊本地震により、大学および現場中学校等の年間計画が大きく遅れたり、変更されたりしたために、予定していた授業実践による研究はできなくなり、関する論文も執筆することができなくなったが、その分、教材開発に努め、数点の新しい体験型鑑賞教育の題材を開発することができた。 また、今年度実施する予定であったイタリア渡航調査も日程が不明瞭で実施できなかったが、計画を十分に練ることができた。 なお、本研究に関することとして講師を招聘して、鑑賞に関する2回目のシンポジウムを昨年につづき開催することができた。本研究3年目のみ開催するはずであった当初の予定からすれば、計画以上の進展である。 熊本地震により不可能となった実地での授業実践研究や検証およびイタリア渡航調査は次年度に廻すことになり、1年先送りということになるが、不測の熊本地震によるものであり、研究自体は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
・熊本地震により、実践不可能となった授業研究やその内容をまとめた論文、およびイタリア調査研究は平成29年度に実施する。 ・9月までには研究協力者および協力校に授業実践の場を借りて、少なくとも2点の検証授業および論文作成を行う。 ・また、9月初旬から中旬の中でイタリア渡航調査研究を実施し、授業開発のより確かな根拠とし、著作権に関することも解決する。 ・なお、シンポジウムは最終年度に3回目を開催することにしている。熊本地震により1年遅れとなっているので平成30年度にまとめの発表として実施することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
熊本地震により、大学自体の年度計画が大きく変更となり、当初計画していたイタリア調査研究ができなくなり、次年度に廻すべく予算を残した。 また、同様に授業実践も協力校に依頼することができず(地震の影響の少なかった1校については実施)、教材制作費用等の物品費も幾分次年度に廻すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
適正に使用していく。
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