研究課題/領域番号 |
15K04456
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中島 繁雄 帝京大学, 教育学部, 教授 (90711680)
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研究分担者 |
清水 静海 帝京大学, 教育学部, 教授 (20115661)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 蓋然的推論 / 論理的思考力 / 自閉症スペクトラム / 逐語記録の作成 / 逐語記録の分析・考察 / 合同研究会 |
研究実績の概要 |
帝京大学教育学部初等教育学科の中島ゼミと京都市立小学校(大宮小、金閣小、修学院第二小、砂川小、吉祥院小、西京極小、桃山東小)との小大連携(京都市教育委員会の協力を得ている)による研究体制を確立させ、通常学級に在籍する自閉症スペクトラムと診断されている児童をはじめとする全ての児童に「蓋然的推論等の論理的思考力」の育成を目指す算数科授業の構築を推進するものである。具体的には、京都市立修学院第二小学校、同桃山東小学校を研究推進校として位置付け、他の小学校の教員も参加して、以下の手順で研究を推進する。(1)研究推進に関わる京都市立小学校の担任は、自分の学級の自閉症スペクトラムと診断されている児童・生徒或いはその傾向の強い児童・生徒に焦点を当てて学習態度、集団との関係等の特性を明らかにする。(2)(1)の児童・生徒の数量や図形などに関する知識・技能について診断的評価を行い、算数・数学の内容に関する特性を明らかにする。(3)算数科・数学科に関する「蓋然的推論等の論理的思考力」を育成する授業設計を帝京大学教育学部初等教育学科の中島ゼミの学生(教育学演習Ⅰ,Ⅱ及び卒業研究Ⅰ,Ⅱに所属する学生)が創造し作成する。(4)中島ゼミの学生が作成した授業設計を基に、(1)の児童の特性や算数科の学力等を踏まえ、京都市立小学校の教員が授業を実践する。(5)実践した授業の逐語記録を中島ゼミの学生が作成し、それを基に、授業分析及び考察を行う。(6)(5)で作成した逐語記録及び授業の一考察について、小大連携の教員との合同研究会を実施する。 (1)から(6)のような取組及び具体的な実践を行い、小大連携による特別支援を必要とする児童をはじめ全ての児童に「蓋然的推論等の論理的思考力」を育成することができる算数科教育の推進を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以下の4点の理由により、区分(1)を選択する。 (1)京都市立小学校との連携について、京都市教育委員会現教育長様の内諾を得て、京都市立修学院第二小学校、京都市立桃山東小学校を研究推進校として教育委員会から指定を受けることができた。また、同大宮小学校、金閣小学校、吉祥院小学校、砂川小学校、西京極小学校などの学校長の了解を得て、若年教員を中心に、授業を提供していただくことができている。京都市で、小大連携に参加する京都市立小学校教員を招集し、「蓋然的推論等の論理的思考力」に関する理論研修会を実施した。 (2)帝京大学教育学部初等教育学科中島ゼミの学生が「蓋然的推論等の論理的思考力」について造詣を深め、それらの数学的な考え方を育成する授業設計について考え、創造し作成することができた。 (3)(2)の授業設計の基づく授業を、小大連携に関わる京都市立小学校教員が実践し、帝京大学教育学部初等教育学科中島ゼミの学生による授業の逐語記録を作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,以下の3点に研究の重点を置き、推進する。 (1)「蓋然的推論等の論理的思考力」の育成に向け、特に、今までの蓋然的推論をはじめ、方法としての数学的な考え方及び内容としての数学的な考え方について、広げて造詣を深めるとともに、特に、以下に示すアからコの考え方の育成を図る授業設計を創造し作成する。 ア帰納的推論 イ類推的推論 ウ演繹的推論 エ統合的な考え オ発展的な考え カ一般化の考え キ特殊化の考え ク関数的な考え ケ集合の考え コ確率・統計の考え (2)小大連携の京都市立小学校の授業協力者の学級における「自閉症スペクトラム」と診断されている児童、或いはその傾向が強い児童のアセスメント表を作成し、生活上学習上の「困り」について明らかにし、算数科の学習における認知に関する特性について明らかにする。 (3)実践された授業の逐語記録から授業の分析及び考察を深め、京都市立小学校の教員との合同研究発表会を実施する。 (1)から(3)の成果をまとめ、特に(2)及び(3)についての考察を深め、紙上発表してまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の理由で、次年度使用額が生じた。 (1)逐語記録を作成するためのPCの見積額と実際に購入額に差があった。(2)実際に計画していた中華人民共和国の算数・数学の授業参観及び授業研究懇談会が中止となった。(3)小大連携による研究協議会を,京都から5名の関係教員を招いて、帝京大学で実施する予定であったが、日程上見合わせることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、以下のように計画する。 (1)京都市と帝京大学との小大連携による研究協議会を,京都市で実施する。帝京大学生10名を京都市立小学校教員と小大連携による合同研究協議会及び研究交流会を実施し、更なる研究の推進を図る。(2)シンガポールの算数・数学教育及び自閉症スペクトラムをはじめとする児童・生徒への算数・数学教育について小中学校を視察し、授業研究の機会を設ける。
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