研究課題/領域番号 |
15K04475
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
外池 智 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20323230)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 平和教育 / 継承的アーカイブ / 広島 / 長崎 / 沖縄 / 秋田 |
研究実績の概要 |
平成27-29年度の科学研究費助成金(基盤研究(C))「継承的アーカイブの活用と『次世代の平和教育』の構築」の研究推進計画に基づき、研究を推進した。 特に今年度は、長崎を中心的対象とし、実際に長崎を訪れ、「家族証言者」や平和教育の実践を調査した。長崎市被爆継承課平和学習係では、2014(平成26)年度より長崎市「『語り継ぐ家族の被爆体験(家族証言)』推進事業」を開始している。 こうした長崎市「家族証言者」は、昨年に引き続き広島市「被爆体験伝承者」とともに秋田大学にお呼びし、学生・院生、一般市民を対象にして講和会を実施した。 また、平和教育実践では、2015-2016(平成27-28)年度長崎市平和教育指定校の山里小学校、そして2014-2015(平成26-27)年度グループ指定の城山小学校の実地調査を実施した。長崎市において、爆心地に最も近い小学校は城山小学校であり、次いで山里小学校である。山里小学校は、爆心地から北方約600mの地点にあり、人員の被害は、当日の在校者32人のうち、校長以下職員26人、用務員2人が死亡し,生存者はわずか4人であった。こうした山里小学校は、戦後70年に当たる昨年度と今年度にわたり、長崎市教育委員会から平和教育の研究指定を受けている。一方、爆心地から西方約500mと最も爆心地に近い国民学校であった城山小学校は、当時学校にいた教職員31人の内28人が亡くなり、約1,500人の児童の内約1,400人が家庭で亡くなった。この他にも、三菱重工業株式会社長崎兵器製作所の一部が疎開して学校を使用していたため、その所員58人、挺身隊員12人、学徒報告隊員42人、庁務員3人の計115人が亡くなっている。生き残ったのは、わずか教員3人、家庭にあった児童約50人、三菱兵器製作所員9人、挺身隊員2人、学徒報告隊員4人であった 。 こうした城山小学校も、やはり長崎市教育委員会より2014-2015年度のグループ指定を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の広島に引き続き、今年度の長崎の調査も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も、引き続き広島市「被爆体験伝承者」、長崎市「家族証言者」の方を秋田にお呼びし、学生や一般市民を対象に講和を実施する予定である。 また、「次世代の平和教育」実践の取り組みの現状については、今年度は沖縄をフィールドに計画している。 また、今年度が最終年度にあたるため、これまでの成果を報告書としてまとめ、公刊する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコンや記録機器など、購入予定の物品を次年度に回したため。 また、予定した出張が、身内の法事により中止になったため
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は最終年度であるので、予定した物品を購入したい。
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