まず、戦争体験の「語り」の継承について、本年度は3年連続で広島市「被爆体験伝承者」養成事業の第1期生をお呼びし(藤井幸恵氏)、そして長崎市から初めて「交流証言者」の松野世菜氏を招き、講話を実施した。 次に、「次世代の平和教育」については、広島市、長崎市の取り組みを踏まえて、那覇市を中心とした沖縄の「次世代の平和教育」実践を取り上げた。具体的には、まず那覇市の平和教育研修を取り上げ検討した。次に、各学校における平和教育実践として、まず「平和旬間」を中心とした那覇市の代表的事例として那覇市立真嘉比小学校。次に特に「総合的な学習の時間」において地域との連携と戦争体験の「語り」を活用している事例として浦添市立港川小学校、そして、同じく特に「総合的な学習の時間」において身近な戦争遺跡を活用している事例として南風原町立南風原中学校、最後に、社会科において個別教員の積極的取り組みの事例として那覇市立石嶺小学校の下地治人氏の実践を取り上げた。 これらの調査・研究は、研究論文としては「戦争体験『語り』の継承とアーカイブ(5) ―広島市『被爆体験伝承者』と長崎市『交流証言者』を事例として―」秋田大学教育文化学部編集委員会編『秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学』第73集、(秋田大学教育文化学部、2018年)、53-78頁、「継承的アーカイブの活用と『次世代の平和教育』(3) ―沖縄の実践を事例として―」秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要編集委員会編『秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要』第40号、(秋田大学教育文化学部附属教育実践総合センター、2018年)としてまとめ公刊している。また、学会発表としては、「戦争体験『語り』の継承と『次世代の平和教育』(2)―沖縄の実践を事例として―」日本社会科教育学会 第67回全国研究大会 自由研究発表(千葉大学)として発表している。
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