研究課題/領域番号 |
15K04479
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
鈴木 庸裕 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70226538)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学校福祉 / スクールソーシャルワーク / 生活指導 / 支援チーム |
研究実績の概要 |
貧困・ネグレクトを基盤とするスクールソーシャルワークの対応について、平成28年度は、27年度中に作成した『学校におけるソーシャルワーク・教師向けハンドブック』(モニタリング用、以下『ハンドブック』)の印刷製本(1000部)をおこない、実践協力校に『ハンドブック』の活用を依頼し、再度、初年度の実践協力校のうちからいくつかの学校を抽出し、アンケート及び実施踏査により活用と評価を収集した。 このモニタリング用『ハンドブック』では、「学校におけるソーシャルワークの目的と基礎的な知識」、「地域における社会資源の発見方法」、「貧困やネグレクトをめぐる問題把握のアセスメント技術」、「個別指導計画の作成と介入方法」、「介入の評価とフィードバック能力の形成」、「児童福祉関係機関や協力者との連携方法」、「家族との適切なコミュニケーション能力の形成」、「家庭訪問のすすめ方」、「子どもや保護者・当事者参加の会議のすすめ方」、「支援チーム会議のすすめ方」、「子ども虐待地域ネットワークのすすめ方」の観点から、個別の実践プログラムのみならず、学校経営に係わる年間を通じた計画のあり方を含め作成した。 その結果、教師と福祉職との使用語句や貧困事象をめぐる理解、実践上の行動原理、根拠法などの相違などが、明確となった。 その際、その異なりを統合し、実践的な協働へ結びつけるものとして、多忙化する教育現場に「負荷をかけない」ソーシャルワークの援助技術への関心が高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では3年間を期間とし、本年度は学校におけるソーシャルワーク実践について、実践協力校にその実際や課題に関する質問紙調査と参与的調査(ケース会議等への参加による質的調査)をおこなってきた。 そのなかで、教師にとっての貧困やネグレクトなどの多問題家庭への訪問技術や関係機関との調整機能の活性化、そして学校による地域ネットワークの形成などに焦点をあて、『学校におけるソーシャルワーク・教師向けハンドブック』を作成し、その活用へのモニタリング作業から、研究の目的が達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成29年度を最終年度としているため、成果のとりまとめが中心となる。 具体的な検証を重ねてきた『ハンドブック』を改訂し、『教師のためのソーシャルワーク・ハンドブック(仮)』(1000部)を刊行する。その際、福島県内のスクールソーシャルワーカー・スーパーバイザーやチーフ・スクールソーシャルワーカー、福島県教育委員会義務教育課・高校教育課指導主事との研究協議を通じて、本冊子は、本研究で協力を得た教育委員会や教育センターをはじめ個々の教師や関係者に配布する予定である。 また、公刊できる著書などにする中で、広く、スクールソーシャルワークに関心を持つ教職員や実務者への実践的研究的発展に寄与していきたい。 また、学会発表や報告として、日本学校ソーシャルワーク学会や日本教師教育学会、日本生活指導学会での年次大会での報告、そして、社会福祉・ソーシャルワークの隣接学会である日本社会福祉学会での研究発表をおこなう予定である。
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