最終年である今年度は主として次のことを行った。 ①韓国については、持続可能な発展教育にふさわしい実践として地域の人材を育成している洪東面(地域)に着目し、8月に忠清南道洪城郡洪東面内の学校(小・中・高)を訪問し、その教育課程に関することを含めてインタビュー調査等を実施した。特にプルム農業高校の理念や活動はこれまでも日本で一部紹介されてきたが、協働組合を基盤とした地域の内発的発展に卒業生たちが重要な役割を担っていることが明らかとなったことは重要な成果であった。最終日には日韓両国の交流の場が設けられ、日本の状況についての報告(「日本における消費者市民教育の動向-地域活性化との関係」(松葉口)および「持続可能なコミュニティづくり 」(小玉))に対して、老若男女が集まって熱心に議論を交わしてくださり、まさに地域を主体とした自発的な学びの共同体であることを確認した。 ②国内については、環境教育/ESDに関する教員養成状況について、すべての県に存在する教員養成系大学について調査するとともに、新学習指導要領や教育政策の動向と照らし合わせながら、実際の授業実践についても見学し、今後の可能性について考究した。 ③これまでの研究成果をまとめ、日本環境教育学会第28回全国大会(於:岩手大学)において、「環境教育/ESDの制度化に関する日韓比較」(松葉口・小玉・元・張)として口頭発表した。 ④本研究の経緯から日本環境教育学会と韓国環境教育学会の公認による国際共同研究プロジェクトが立ち上がり、学校教育における環境教育の日韓共同研究として今後さらなる進展に向けての活動を始動することとなった。
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