令和元年度は、本研究の完成年度となるため、これまで行ってきた小学校と中学校における問題解決的な学習と体験的な学習を導入した道徳授業の評価について総合的に検討した。その研究成果は、道徳科の多面的な評価方法として編著『道徳の評価』で刊行した。 また、道徳科の指導と評価の特質については、日本教科教育学会編『教科とその本質』で解説した。その際、各教科・領域と道徳科の類似点と相違点についても言及した。 問題解決的な学習と体験的な学習を取り入れた道徳授業の実際としては、小学校では郡上市立八幡小学校、中学校では長森南中学校、義務教育学校では岐阜大学教育学部附属小・中学校、神戸市立港島義務教育学校などで問題解決型の研究授業を行った。岐阜大学附属中学校の矢島徳宗教諭と協力して社会科と関連した今日的課題に対応した道徳授業も行った。長良東小学校の後藤洋基教諭と協力して、道徳科と体育科を関連づけた総合的プログラムを開発した。さらに、筑波大学附属小学校道徳教育研究大会では問題解決的な学習と体験的な学習を用いた道徳授業の研究に関する助言・指導と講演を令和元年8月と12月、令和2年2月に行った。 研究発表としては、8月に鳥取道徳教育研究会で「人物教材を用いた問題解決型の道徳授業の指導と評価」について講演を行った。日本道徳教育学会では、「主体的・対話的で深い学び」と対応した問題解決的な学習や体験的な学習を用いた道徳授業に関する研究協議を続け、学会誌『道徳と教育』において論文「道徳科で主体的・対話的で深い学びをどう実現するか」を発表した。 年度末に本研究を総括する研究発表や講演も行う予定であったが、コロナ禍によって大幅に大会の開催を中止せざるを得なかったため、今後刊行して公表する予定である。
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