研究課題/領域番号 |
15K04500
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
鈴木 洋子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40187779)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学校給食 / 給食指導 / 教員養成大学 / 教育実習 / 教育実習事前指導 |
研究実績の概要 |
給食の時間が食育の絶好な機会であることから、食育の充実を図る上で教員一人ひとりに給食指導に必要な知識が求められている。しかし、現行の教員養成段階では学校給食に関する学びが保証されているわけではなく、給食を扱った授業を提供している大学は僅少である。そこで、本研究においては、教員養成段階から教育現場(初任者研修)に至る一連のプログラムを開発することにした。 初年度のH27年度は教育実習(事前指導を含む)における給食指導に関する実態把握に努めた。2015年12月から2016年1月に、51大学の教務(学務)課宛に「国立系教員養成系大学・学部における教育実習(事前指導関連科目を含む)中の学校給食ならびに給食指導の扱いに関する調査」への回答を依頼した結果、29大学から回答を得られた(回収率58%)。29大学のうち、教育実習(事前指導を含む)において、学校給食ならびに給食指導を「扱っている」もしくは「実習の手引き(ハンドブック)に記載している」は9大学で、約7割にあたる20大学では授業での扱いや実習の手引き(ハンドブック)への記載がないことがわかった。 「扱っている」及び「実習の手引きに記載あり」の9大学の内訳は次のようになる。「実習の手引きに記載あり」は7大学(1大学は作成中で記載予定あり)で、そのうち教育実習の事前に授業で学校給食を扱っているのは5大学(1校は教養科目)であった。3大学については、手引きへの記載はあるが授業での扱いはなかった。1大学については、手引きへの記載はないが小学校教育実習・中学校教育実習の学級経営の内容として扱っていた。 以上の結果から、給食指導に関する内容を扱っている大学は少なく、給食指導について十分な知識を持つことなく、学生らは実習に参加している傾向にあることが把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H27年度は、次の3件を予定していた。①教員養成大学における教育実習のための給食指導に関する実態把握として、教員養成大学(国立)のホームページから教育実習の手引(ハンドブック)等を検索し、学校給食及び給食指導の扱いの有無を調べる。②教員志望学生(教育実習経験者である4回生)を対象に、教育実習中の配置校での指導教員による学校給食に関する指導の有無と、有の場合の具体的な内容を把握する。③以上の結果を踏まえて教育実習(事前指導を含む)における給食指導に関する指導内容の原案を作成する。 ①のインターネットによる検索については「教育実習の手引き」等の提示件数が少なく思うように作業が進まなかったことから、急遽、郵送による調査に切り替えたため、予定以上の時間がとられた。②についてはH27年度中に結果をだすことはできなかったが、現在取り組み中であり、調査内容については検討済みである。したがって③の教育実習(事前指導を含む)における給食指導に関する指導内容の原案の作成には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度に実施できなかった教員志望学生(教育実習経験者である4回生)を対象にした教育実習中の配置校での指導教員による学校給食に関する指導の有無と、有の場合の具体的な内容を調査する。 H28年度の計画にはあげていなかったが、教員サイドの意見を把握するために、小学校教員にインタビューを行い、教育実習に参加する際に給食指導に関して理解しておいてもらいたい内容の調査を追加して行う。 以上の結果にH27年度に調査した教員養成大学の「実習の手引き」の結果を踏まえて教育実習(事前指導を含む)における給食指導に関する指導内容の原案を作成する。 さらに、H28年度の計画にあげている初任者研修における給食指導に関する実態を把握し、初任者研修における指導内容の原案を検討する。 最終年度には、学校給食を扱った教員養成段階における授業⇒教育実習⇒初任者研修のプログラム開発と、教育実習事前指導に活用できるビデオ教材を制作する。
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次年度使用額が生じた理由 |
教員養成大学における教育実習のための給食指導に関する実態把握として、教育実習の手引(ハンドブック)における学校給食及び給食指導の扱いの有無を調べた後に、扱っている大学の担当者へのインタビューを計画していたが、手引きでの扱いの有無の調査に時間をとられたため、インタビューまで進めなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
担当者にコンタクトをとり、インタビュー調査を実施する。そのための旅費が必要となることから「次年度使用額(B-A)」をあてる。
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