研究課題/領域番号 |
15K04502
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
池野 修 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70294775)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 内容言語統合型学習 / 教師教育 / いじめ問題 |
研究実績の概要 |
本研究は,教職で必要とされる基本的な専門的知識や考え方について,英語でコミュニケーションを行いながら学ぶという,教師教育と英語教育を統合した「教師教育としての英語 (English as teacher education)」の実践プログラムを開発することをねらいとしている。平成27年度(初年度)に実施した研究の内容は主に次の3つである。(1) 本研究の理論的基盤をしっかりさせるために,内容中心教授法 (Content-Based Instruction, CBI),内容言語統合的学習 (Content Language Integrated Learning, CLIL),教師教育,教育の現代的課題などについての最新の議論や研究成果について,文献及び学会での研究発表などから情報を収集した。また,CLIL における効果的な言語使用についても,文献を通して,現在までの知見と課題について理解を深めた。(2) 「教師教育としての英語」の中心的なテーマの一つである「いじめ問題」単元(全5授業時間),「教師を巡る諸問題」単元(全4授業時間)を構想し,教職課程を履修している学生に対して実施した。単元開発には,内容学習・言語学習の目標の検討,内容学習と言語学習を統合的に促すための教材と多様な言語活動の開発などが含まれる。(3) 特に,「いじめ問題」単元については,目標の達成度評価,実施した各活動の有用性に関する評価,「いじめ問題」についての英文エッセイ・データなどの評価データを収集し,現在分析を進めている。実施したテーマ単元の評価は多面的に行う計画であるが,「教師教育としての英語」プログラム全体の評価については,その妥当性の検証が当初予想した以上に困難であり,この点については研究計画の変更も必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は文献研究,「教師教育としての英語」のいくつかのテーマ単元の開発と探索的実践が中心であったため,学会での発表や論文出版などの形では成果は結実していない。開発・実施したテーマ単元に関する評価データも一部収集しているが,現在その分析を進めているところであり,論文化を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
2年次は,(1) より包括的な「教師教育としての英語」プログラム(6つ程度のテーマ単元から構成される)を開発する。新たに「学力向上の取り組み」「不登校」「塾と学校」「教科としての小学校外国語(英語)」などの単元を加える。(2) より多面的な実践プログラムの評価を模索する。英語スピーキング・テストのようなパーフォーマンス評価のデータ,半構造化インタビューなどの質的データの収集も検討する。(3) 昨年度開発し,実践した「いじめ問題」単元の実践について,英語教育関係の学会において研究発表を行う。(4) これまでの研究成果について論文としてまとめ出版する。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が14,248円あり,これを次年度に繰り越すため次年度使用額が生じている。当初は海外(イギリス)で開催される学会への出席を計画していたが,これを国内学会への出席に変更したため,旅費は計画よりも少額となっている。逆に,図書購入費などの物品費は計画よりも少し多めになっている。残額はこれらの原因から生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
残額は14,248円とあまり高額ではなく,基本的に図書の購入などにあてる計画である。
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