研究課題/領域番号 |
15K04507
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
石田 美清 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20144785)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生徒指導 / 教育相談 / 学校評価 / 教育委員会 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、都道府県・指定都市・中核市教育委員会を対象とした事例調査及び質問紙調査・資料収集により、生徒指導・教育相談の教育行政施策を明らかにすることにあった。当初は『教育委員会一覧』により生徒指導・教育相談主管部局を特定し、事例調査と質問紙調査を行う予定であった。しかし、各教育委員会のホームページ上から組織規則等にアクセスでき、「生徒指導」「教育相談」「いじめ」「不登校」「青少年健全育」等の所掌内容が明らかなることが新たに分かった。そこで、ホームページ上から全国47都道府県・20指定都市・45中核市教育委員会の教育委員会組織規則、教育振興基本計画、教育要覧等を収集し分析を行った。 結果として、①生徒指導・教育相談を専任で担当する課や係を設置する教育委員会が増加し、また、その部局名称も、支援、安全、人権/同和、いじめなどの用語が用いられて多様化していること、②所掌内容として、地方教育行政法による「生徒指導」のほかに、教育相談、いじめ、不登校など具体的な生徒指導上の課題も挙げられるようになっていること、③大半の都道府県・指定都市教育委員会は文部科学省の補助事業を行っているが、各教育委員会独自の事業との関連性は明らかになっていないこと、④中核市教育委員会では、青少年健全育成として首長部局や社会教育部局が所掌していた少年補導センターの活用が見られること、⑤SCやSSWだけでなく多様な名称の生徒指導・教育相談担当者の配置、サポートチームの活用、相談に関わるセンターの設置、NPOとの連携などを行っている教育委員会が散見されることなどが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
過去4度の調査では『教育委員会一覧』により生徒指導・教育相談主管部局を特定し調査を行ったが、教育委員会のホームページ上から組織規則等にアクセスでき、所掌内容が明らかになることが新たに分かった。そこで、インターネット上で47都道府県、20指定都市、45中核市教育委員会の生徒指導・教育相談主管部局の特定と所掌内容の分析、及び教育振興基本計画、教育要覧、教育行政施策、教育方針の資料を収集し分析するなど、事例調査と質問紙調査前に情報収集と分析を優先的に行うことにし、その後、生徒指導・教育相談の課題のある教育委員会の事例調査と全国調査を実施することにした。 文部科学省「いじめ対策等総合推進事業」として、①スクールカウンセラー等活用事業、②スクールソーシャルワーカー活用事業、③24時間子どもSOSダイヤル、④いじめ問題等の解決に向けた外部専門家活用事業などが行われており、大半の教育委員会が文部科学省補助事業を行っている。しかし、各教育委員会独自の事業との関連性が明らかにできなかった。現在、文部科学省「いじめ対策総合推進事業」実施に関わる資料を収集中であり、それに基づいて全国調査を実施することにした。 平成27年12月の中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」では、生徒指導上の課題解決のために、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを「生徒指導や教育相談の組織」に有機的に位置付けるだけでなく、将来、正規職員として規定し、教職員定数と算定すること」を求めている。この具体化によって、当初予定の調査を変更せざるを得なくなる可能性があるため、情報収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度から平成29年度にかけて、①平成27年度の研究成果を用いて、事例調査と質問紙調査に基づく資料の収集とデータベース化、②文部科学省「いじめ対策等総合推進事業」及び「チーム学校」の実施状況を明らかにした上で、全国の小学校、中学校、高等学校の生徒指導・教育相談の実態、学校評価の実施状況に関する調査、③市町村教育委員会の生徒指導・教育相談のネットワーク化とスクールサポート体制と学校評価に関する調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画とは異なり、新たにインターネットによって関連資料の収集ができることが分かり、その研究方法を優先したこと、さらに文部科学省の関連施策が進行中であり、調査前に十分な情報収集を行うことにしたため、年度中に都道府県・指定都市・中核市教育委員会の事例調査及び質問紙調査が実施できなかった。このため、旅費、人件費、その他(郵送費)の執行が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の研究成果を基に、平成28年度前半に都道府県教育委員会・指定都市・中核市教育委員会の事例調査及び質問紙調査を実施する。さらに平成28年度後半より、当初の小学校、中学校、高等学校の生徒指導・教育相談、学校評価の状況調査を実施する。また、市町村教育委員会の生徒指導・教育相談のネットワーク化とスクールサポート体制と学校評価に関する調査は、当初より平成28年度後期から平成29年度前期を予定している。
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