研究課題/領域番号 |
15K04511
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
田尻 信一 目白大学, 人間学部, 教授 (10436800)
|
研究分担者 |
多田 孝志 目白大学, 人間学部, 名誉教授 (50341920)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 21世紀型能力 / 高大連携 / 世界史カリキュラム / ESD / 世界史授業アーカイブ / 探究的世界史学習論 / 歴史的思考力 / 史料の活用 |
研究実績の概要 |
本研究は、21世紀型能力育成の観点から高大連携の一環として大学研究者が高校地歴科教員の協力を得て行う研究である。高校の歴史授業の現状を分析して歴史的思考力育成型授業の理論と実践を収集しデータベース化をはかるとともに、実践可能な授業モデルを開発し高校現場に発信することである。 研究代表者の田尻信一(論文等では田尻信壹を用いる)は、歴史授業の調査として愛知県歴史研究会例会での参加と調査(2017.7.1~2)を行った。また、歴史的思考力育成型の教材開発のための調査として富山県での調査を行った(2017.6.28~29、8.7~8)。また、海外調査として2018年2月に米国カリフォルニア州で授業見学・収集と教材収集の調査を行った(2018.2.11~2.16)。そして、研究成果を日本社会科教育学会第67回全国研究大会(2017.9.16~17、千葉大学)、高志の国文学館講演(2017.11.18)で発表した。さらに、刊行物として『探究的世界史学習論研究』(風間書房、2017.12、単著)、「AP米国史における歴史的思考スキル」(目白大学『目白大学人文学研究』、2018.3、単著)、書評『歴史的思考力を育てる』(『歴史と地理』710、2017.11、単著)を刊行した。 また、研究分担者の多田孝志は、国内調査として島根県での調査等(2017.6.29~7.1、10.1~2)を行い、教育現場での21世紀型能力に代表される新しい資質・能力の現状についての検討を行った。そして、研究成果を日本ESD学会(2018.3.3、国連大学 ウ・タント国際会議場)で講演した。さらに、刊行物として「深い思考の考察」(共創型対話学習研究所『未来を拓く教育実践研究』2、2017.12、単著)、『グローバル時代の対話型授業の研究-実践のための12の要件-』(東信堂、2017.12、単著)を刊行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時の計画では、平成29年度に研究を完了する予定であったが、平成28年度より勤務大学所属学科の科長に任命され学内業務が増加した。それに伴い、学外調査や研究にやや遅れや支障が生じることになった。また、収集した歴史授業記録の整理と分析が十分でなく、授業記録や研究成果を科研で開設したホームページ(世界史授業アーカイブ、http://www.archives-whl.jp/index.html)上にアップする作業などに遅れが生じている。そのため、平成29年度末現在、研究は完全に達成されていない状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度も研究を継続する必要が生じたので、研究の延長願いを申請し承認された。そのため、平成30年度に上記「11 現在までの進行状況」に挙げた研究の遅れや支障の改善をはかるとともに、本研究を完了させることを目指す。そのため、本年度は、平成27、28、29年度の研究成果を土台にして、以下の研究を推進する。 ・収集した歴史授業記録の整理と分析を行い、授業記録や研究成果をホームページ(世界史授業アーカイブ、http://www.archives-whl.jp/index.html)上にアップしてデータベース化を進めるとともに、大学研究者と高校教員との協力関係の一層の進展をはかっていく。 ・米国での探究型歴史授業研究の動向を整理し、その成果をホームページ上にアップし、データベース化をはかるとともに、高校現場への研究成果の発信を積極的に行っていく。 ・21世紀型能力に基づく世界史の単元開発を行い、その成果をホームページ上にアップして、高校教員との共同研究を推進していく。また、研究成果を教科教育学系学会(社会科系および地歴科系学会・研究会)で報告したり学会誌・大学紀要に投稿したりして、研究の社会への発信と普及につとめていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
これまでに収集した授業記録(映像・音声データ)のテープ起こしが完全に終了しておらず、経費の一部が未執行のままである。そのため、業者に早急に業務を発注し未処理データをホームページ上にアップして公開していくことを計画している。 平成29年度は勤務大学での公務が多忙化したことにより、本研究のための授業収集や、単元開発のための調査活動が十分に実施できず、経費の一部が未執行のままである。そのため、今年度は授業調査の活動と単元開発のための取材を7月までに実施して未処理の経費を執行していくことを計画している。また、7月以降は、21世紀型能力に基づく世界史の単元開発を迅速に進めていくことで単元開発の経費を執行することを計画している。
|
備考 |
田尻信一は、「書評・永松靖典編著『歴史的思考力を育てる』(『歴史と地理』710、2017、pp.46-49)を執筆し 、講演として「巨人の物語をひもとく:藤井能三の生涯」(高志の国文学館、富山市、2017年11月18日、参加者80名)を行った。
|