研究課題/領域番号 |
15K04519
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
登美 博之 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (50172177)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育工学 / 教材開発 / 科学英語 / 文構造 / 文増加方式 / ライティング |
研究実績の概要 |
平成27年4月から7月にかけて、実用英検2級の過去数年にわたって実際に出題された 問題を収集し、その内容を分析して、教材作成のための基礎的な資料を得た。7月から10月末までに、この調査の結果を参考にして、「パラグラフライティングのための科学英語を用いた段階的英文増加方式英語教材」の問題(基礎編・一般科学英語・1センテンス問題)を作成した。工科系の学生の英語力を向上させるという目的から、上記の調査を参考にして、実用英検2級のレベルに沿ったものを作成した。「変形生成文法理論」を参考にしながら、教材の形式としては、不定詞、関係代名詞などのような文法事項を各章にひとつひとつ採り上げて行く「文法事項型」を採り、12章の構成とした。同時に、これまでの研究の成果である「語句の拡張方式」の教材と「語句の乱数的変化方式」の教材の両方を組み合わせた問題提示方式の教材を作成した。特に本教材では、英語の「文構造」を学習者に十分に理解させるという観点から、ヒントとして、「英語の文構造に対応した日本語の語句の配列提示」を行った。作成の際には、注意を要する文法事項には説明を加え、難しい単語や語句には注釈を施して、学習者が理解し易いように工夫と配慮をした。また、演習に用いられる英作文問題が工科系の学生にとって興味や関心が持てるものになるように留意した。さらに、問題ごとに数回、正解の英文そのものをタイピングさせることにより、英語学習の基本的なことである「英文を覚えること」を学習者に徹底して行わせるようにした。平成27年11月初めから約3か月間にわたり、申請設備を用いて、アルバイト学生3名によって、コンピューター・プログラミングおよび教材の校正を平行して行った。その後、コンピューターの音声ソフトを用いて、問題の正解英文の音声の吹込みを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科学英語によるパラグラフ・ライティング作成へと至るための基礎的な段階としての教材、一般科学英語による基礎英語の1センテンス問題(設問数:12章X15題=180題)を作成した。基礎問題であるので、不定詞、関係代名詞などのような文法事項を各章にひとつづつ採り上げていく「文法事項型」による作成形式を用いた。プログラミング原稿を予定した期間内に作成し、アルバイト学生3名を使って予定通りにプログラミング作業を終えた。そして、出来上がった教材をコンピュータに表示をして実際に演習を行ってみた。コンピュータでの表示方式および作動の状態は良好であった。今年度の作業は順調に進んだ。今のところ、演習問題の作成およびコンピュータでの問題提示に関して、何ら支障となるような事態は生じていないようである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、「パラグラフライティングのための科学英語を用いた段階的英文増加方式英語教材」の問題(応用編・一般科学英語・2センテンス)の原稿作成を、8月から9月にかけて行う。前年度の教材の基礎的な文法事項の知識を用いて、一般科学英語の2センテンスから成るライティング演習問題を行う。2センテンスの問題であるので、特に2つの文の相互関係を理解させるようにする。問題作成形式としては、「文法事項型」を採らずに、文法事項が混合した形式を採る。12のトピックに分けて作成する。10月初めから約3か月間にわたり、アルバイト学生によって、コンピューター・プログラミングおよび教材の校正を平行して行う。その後、コンピュータの音声ソフトを用いて、問題の正解英文の音声の吹込みを行う。 平成29年度には、「パラグラフライティングのための科学英語を用いた段階的英文増加方式英語教材」の問題(応用編・一般科学英語 3センテンス)の原稿作成を、8月から9月にかけて行う。3センテンス問題であるので、3つの文の内容的なまとまりを理解させるようにする。問題の作成形式としては、「文法事項型」を採らずに、文法事項が混合した形式を採る。12のトピックに分けて作成する。10月初めから約3か月間にわたり、アルバイト学生によって、コンピュータ・プログラミングおよび教材の校正を平行して行う。その後、コンピューター音声ソフトを用いて、問題の正解英文の音声の吹込みを行う。平成30年1月初めから3月末にかけて、3年間にわたって作成した「パラグラフライティングのための科学英語を用いた段階的英文増加方式英語教材」(基礎編および応用編)を冊子本として印刷する。 なお、平成29年度中に、3年間にわたる研究開発のまとめとして、学会や研究紀要などでその成果を学内外に発表する。そして、今後の研究の参考とするために、各方面からの意見を聞く。
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次年度使用額が生じた理由 |
コンピュータがウィンドウズ8からウィンドウズ10への移行時期であったので、その推移の状態を見極めようとして、コンピューターを新しく導入することを控えていた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、科学英語によるパラグラフ・ライティング作成へと至るための次の段階として、「パラグラフライティングのための科学英語を用いた段階的英文増加方式英語教材の開発」の問題(応用編 一般科学英語・2センテンス)の作成を行う。作成に際して、できるだけ最新の情報や話題を取り入れたいと考えている。このため、更なる資料の収集および演習問題作成に用いる英文の内容の検討と考察が必要となってくる。それゆえ、それらを収集するための最新の機器類の購入に研究費を充てたいと考えている。また、演習問題の英文プログラミングに関して、前年度よりもセンテンスの数が増加しかつ問題の難易度のレベルが上がるので、アルバイト学生の謝金も前年度よりも若干嵩むかもしれない。 従って、今年度には、機器類の購入と謝金に研究費を概ね充てることになると思われる。
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