高齢者が介護予防事業へ参加するためには、対象者立脚型の大学生と高齢者の協同学修およびそれにより開発される介護予防支援者養成教育プログラムが重要となる。研究代表者が2009年から地元自治体と協定し、地域と連携した実践的な健康教育として「悠遊健康サークル」と称した事業を基盤として本研究を実施した。 成熟した指導力や豊富な知識経験・技術、特技、文化的存在感などを持つ高齢者の人的地域資源と、柔軟な発想力や行動力を持つ大学生が融合した環境を作り、主体的な企画能力を高め、自由な発想と双方の活発な討論の中で、効果的な介護予防支援活動の実現に向けたプログラムの立案に取り組んだ。高齢者の持つ力が活かされている活動についてプレテストを踏まえ質問紙票を含む調査票を作成し、地域の高齢者300人に対し、アンケート調査を実施し、171人の回答(回収率57.0%)を得た。結果分析から、生活満足度と主観的健康感の向上には、有償活動・家庭外無償活動が有意に寄与するという知見が得られた。地域の人的資源18人をアンケートから発掘し、学生20人と「介護予防支援活動~地域での役割~」をテーマにアクティブラーニング手法を用いて、通いの場の把握やそのあり方、社会参加、地域資源とネットワーク、行動変容への工夫などについて検討し基礎研修、実践研修、地域研修の試験試行を実施した。各研修においてはグループディスカッションの逐語から抽出されたキーワードを元にプログラムを組み立て、地域の公民館で実践した。また、学生の学修評価とプログラム評価を目的とした到達達成度ルーブリックを作成した。 なお、学会および学会誌等での研究成果発表は終了し、研究代表者所属機関の「教育研究推進センター」の年報へ掲載した。
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