研究課題/領域番号 |
15K04522
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
山田 真紀 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (30329643)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特別活動 / 生徒会活動 / ドキュメンテーション / 自己肯定感 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ドキュメンテーションの手法を用いて生徒会の活動を広く学校構成員(教職員と生徒)に開いていくことにより、生徒会活動の活性化を促すというものである。初年度には2つの作業を行った。第一に、生徒会活動をめぐる先行研究の整理である。生徒会活動は先進国の小中学校でも草の根的に行われてきた活動であるが、学習指導要領の中に含め、学校のカリキュラムの一部分として大切に育ててきたのは、ほぼ日本だけであること、しかしながら日本では、近年、形骸化し、活動が低調であるなどの問題を抱えており、生徒会活動が民主主義の教育・市民性の教育の拠点となりうる視点が乏しいことを明らかにした。第二に、滋賀県にあるA中学校における参与観察と質問紙調査を行った。質問紙調査は新学期と学年末の2回、ほぼ同じ質問内容で実施し、生徒の変化を追った。その結果、生徒会活動に積極的に取り組めた生徒は、自己肯定感が高く、勉強を始めとする学校の諸活動にも意欲的であること、そしてこの結果は、生徒会活動の中心メンバー(役員や委員会の委員長)だけでなく、フォロワーとなる生徒においても同様であることを明らかにした。この結果は、諸外国で行われている生徒会活動が生徒代表のリーダー養成に重きを置き、フォロワーの生徒の育ちをあまり意識していないのと対照的であり、(現在のところ仮説に過ぎないが)日本の生徒会活動の重要な特徴のひとつなのではないかと思われる。上記の先行研究の整理と質問紙調査の結果については、平成28年度の日本特別活動学会紀要に論文を投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究の整理と生徒の実態調査については順調に進んでいる。ただし、この研究のメインとなるドキュメンテーションについては、定期的に行うことが必要であるものの、研究協力校が遠方であることから、参与観察を密に行うことができなかったため、不十分な結果となった。2年目からは積極的に足を運び、ドキュメンテーションの効果を確かめるべく、研究を続けていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は以下の3点について重点的に研究を進める予定である。第一に、平成27年度に行った先行研究の整理と質問紙調査の結果について、平成28年度の日本特別活動学会紀要に論文を投稿し、広く研究成果を公開すること。第二に、生徒会活動に関わりの深い活動(生徒集会、生徒役員会議)のある日には研究協力校に足を運び、ドキュメンテーションをすること。そして徐々に生徒たち自身がドキュメンテーションを行い、自分たちの思いや活動の意味について、学校構成員に開示していけるように指導すること。第三に、継続的に行っている質問紙調査のデータを用いて、生徒会が果たす役割について「学力の向上」「学校生活に対する積極的な関与」「自己肯定感の醸成」の3点との関連から分析すること。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年3月に執行する予定で消耗品費として8000円弱を残していましたが、これまでに購入していた消耗品で事足りたため、予算の執行を平成28年度に持ち越すことにしました。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の消耗品費として執行します。
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