研究課題/領域番号 |
15K04524
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
竹歳 賢一 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (20712334)
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研究分担者 |
太田 直樹 福山市立大学, 教育学部, 講師 (00733297)
小谷 卓也 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (50411484)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 論理教育 / 数学教育 / 幼児教育 |
研究実績の概要 |
PISA などの国際学力調査などの結果より,日本の子どもは「論理的思考力」が弱いと指摘されている。現在、幼稚園、保育園、小学校において、論理教育は十分におこなわれていないのが原因の一つであると考えられる。小学校における論理教育に関連する教科は、主に国語科と算数科である。その問題点として国語科では情緒的な読みを重視してきたが、議論などの論理を駆使する活動が少ない、算数科においては間接的に帰納・類推・演繹的な考え方は利用するが、論理を直接の対象として体系的に教育できていないことがあげられる。本研究は、算数科を中心とした幼小連携を意識した論理教育の構築を目指すものである。 5 才児における「論理的思考力」の認識調査・教育実践をおこなって得られた知見は次の通りである。論理語(not,and,or)を利用した「野菜バスケット」あそび(野菜を形・色の特徴について分類して課題を出す)を通した教育実践の結果から、このあそびを続けていくと、論理語利用の認識が高まることが明らかになった。また、認識調査で論理語(not)の「表現」が5歳児にとって難しいという結果であったが、「野菜バスケット」あそびの中でも正答率が他の論理語(and, or)よりも低く、論理語(not)について、今後、有効なあそびを模索したい。また、学会で成果発表をした際、幼児教育では数理関係の実践発表が少ない中で参加者から興味深い研究であるという高評価を得た。 「算数的活動」における問題点を整理した結果と、小学生の「論理的思考力」に関する認識調査の結果から小学1年生であっても「多段階の推論が可能である」ことより、「論理的思考力を高める算数的活動にはLEGOロボットのプログラミング学習が有効ではないか」という仮説を得た。次年度は、教育実践を通してこの仮説を検証したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画に沿った進捗状況は以下の通りである。 ①「文献調査による論理的思考力に関する先行研究の成果と課題の検討」については、幼児教育、小学校教育においては、体系的に論理教育はおこなわれていないことが、明らかになった。 ②「5 才児,小学校1~6年児童における「論理的思考力」の認識調査の実施・分析」については、5歳児では教育実践をとおした結果考察までできた。小学校1~6年児童における「論理的思考力」の認識調査については、精査する必要があったので、継続調査をおこなう予定である。 ③「算数的活動における今日的課題を整理し、その課題解決に必要な観点の策定」については、教育現場で研究者がいかに協働して教材・指導法を共有する実践を進めていくかが取り組むべき課題であることがわかった。 以上のように概ね、計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究から、「LEGOロボットを利用したプログラミング活動は論理的思考力を高めることができる」という仮説をたてるに至った。この仮説を検証するための小学生を対象とした授業実践デザインを作成したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者:太田直樹が平成27年度に予定していた数学教育国際会議への出張が平成28年度に変更になったため旅費355864円が残金となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者:太田直樹が数学教育国際会議(ドイツ)への出張を平成28年度に計画している。355864円を平成28年度に旅費として執行予定である。
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