研究課題
本研究の特色は、理論と実践の往還を目指し、研究者と学校教育現場で日常的に児童生徒と関わっている教師が協働しながら実証的な研究を推進してきた点にある。具体的な成果は、まず特別活動における文化的行事に関する理論研究及び教科用図書における学芸会題材を収集し、それを整理・分類したことにある。次に、昭和37年3月及び昭和53年に実施されていた学芸会の全国調査結果や、昭和38年度及び昭和44年度などに取り組まれた学校教育現場による学芸会に係る研究報告の史資料を見出したこと、それらの先行研究を検討して作成された予備調査を行い、文化的行事に関する全国調査に取り組んだことである。本調査では学校の文化的行事に関する定量的なデータを整理分析することにより、基礎データを構築することができた。また、定性的なデータとして、文化的行事の意義や課題、児童生徒に培われると考えられる資質能力などについての分析を行ったが、このような調査はこれまでに実施されておらず、この点においても本研究の独自性と意義を示すことができた。さらに、学校種による特色ある学芸会等、とくに演劇を中心とした文化的行事の実践(大阪市立海老江東・味原小学校の学芸会、宝塚市教育委員会の自己表現力向上事業、近畿圏X中学校の文化発表会、宝塚市立宝梅中学校の文化発表会、兵庫県立洲本高等学校の文化祭、大阪府立門真なみはや高等学校の文化祭、兵庫県立鳴尾高等学校の学級劇、特別支援学校の文化的行事)を整理することができた。以上の成果を踏まえ、これからの文化的行事について、多面的な視点から提言を行うことができたことは、本研究の大きな特色である。本研究で示された成果は、初等・中等教育では、次期学習指導要領が告示され新しい教育が開始されるが、文化的行事を通して児童生徒に育まれる資質・能力は今後に求められる資質・能力に資するものであることを示すことができた。
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東京理科大学教職教育研究
巻: 第3号 ページ: 3-12
甲子園大学紀要
巻: 第43号 ページ: 49-65