研究課題
平成29年度は、昨年度より引き続き、保育所・学校等教育現場における実践記録とその分析に着手し、支援のポイントの整理に努めた。発達性協調運動症(DCD: Developmental Coordination Disorder)を主症状として支援アプローチを考えるとすれば、運動協応性(motor coordination)を中核に据えた支援を特別支援教育のなかでどのように取り入れるかが課題になってくるだろうと考えられた。その際、DCDを示す幼児・児童の運動パフォーマンスの過程をふまえ、実際の保育者・教師が使用する評価観点として支援にどう活かしていくのかが残された実用的課題になると思われた。実際の発達支援場面の記録から、児の運動パフォーマンスの過程と変化を動画分析により可視化する作業を継続し、DCD児における二次元情報と三次元情報の転換におけるつまづきという背景が示唆された。この特性をどう支援につなげるかが重要と考え、Roth & Kröger(2011)の報告を参考に、支援ポイントを探るための実践の試行を行った。つまり、児が失敗しても気にしないほど数多く取り組める機会を保障し、運動パフォーマンスにおける適切な身体の動きのための自然な自己受容を促すようにする働きかけとした。さらに自発的な動きを引き出すため、楽しさを強調するとともに、パフォーマンスの知識について、あまり指導的・教示的に働きかけない働きかけである。これは児の活動への満足度も高く、今後もさらなる検証やデータの蓄積が求められるものの、支援における評価観点の方向性として有用と考えられた。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
弘前大学教育学部研究紀要クロスロード
巻: 23 ページ: 131-140
保健科学研究
巻: 8 ページ: 17-24