研究課題/領域番号 |
15K04547
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
大伴 潔 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (30213789)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 言語発達 / 通級による指導 / 学齢児 / アセスメント / 特別支援教育 / 通常の学級 |
研究実績の概要 |
昨年度実施した通級指導教室(学級)における指導方法の実態に関する調査の結果をさらに分析したところ、通級利用児の語彙に関しては、語彙が少ない(94.5%)、語彙を想起するのに時間がかかる(70.9%)、間違った語彙を使うことがある(51.2%)といった実態が明らかになった。言語表現に関しては、積極的に話すが何を言いたいのかが伝わりにくい(78.7%)、短く単純な文で話すため細かい内容が伝わらない(73.2%)、文法的に誤った表現になることがある(67.7%)という実態であった。調査結果や海外の指導に関する文献、学齢児の特性を踏まえて、学齢期における語彙領域の言語指導については以下の5つの指導方針が抽出できた:1.言葉について客観的に考えるメタ言語的活動(例:言葉の意味を別の言葉を使って表現する、似た意味の言葉を想起する、反対の意味の言葉を想起する)、2.子供の言い誤りや言いよどみを捉えて語を教える、3.指導する語彙を選択して直接アプローチする(例:時間や季節にかかわる言葉、位置を表す言葉、工作や調理にかかわる言葉など意味的関連性を基盤として指導する)、4.文字を使い知らない言葉を視覚化する、5.言葉を学ぶ方法を学ぶ(例:知らない言葉に線を引く習慣をつける、言葉の意味について質問する習慣をつける、言葉の意味を辞書で調べる習慣をつける)。「慣用句・心的語彙」領域では、1.意味の手がかりから慣用句を想起する、2.架空の状況に応じた気持ちを言葉で表現する、3.特定の心的語彙に対応する場面を想起する、4.登場人物の心情を表す文章を読む、5.ゲーム等の中で気持ちを言葉で表現する等の指導方針が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校の通教指導教室・学級の協力を得て、通級による指導を受ける児童の実態及び通級指導における指導方法についての情報を蓄積することができた。得られたデータの整理・分析に加えて、海外での実践に関する情報の収集も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
調査結果や海外の指導に関する文献、学齢児の特性を踏まえて、語彙領域の指導方針を体系化したが、今後は「文の表現」「想像力・柔軟性」等の領域についても指導方針・指導方法の整理を進める。また、通級による指導を受けている児童を対象に、アセスメントから得られるプロフィールにもとづき、特定の領域で特に困難を示す児童における指導実践の有効性を検証を進める。
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