研究実績の概要 |
平成30年度は、29年度にバージョンアップに取り組んだアプリを公開し、このアプリを利用して「この星に生まれて」を課題曲とする「第2回手話うたコンテスト」をインターネット上で実施した。また、アプリの利用者にインタビュー調査をおこない、聴覚障害があり人工内耳と補聴器を装用している11歳男子から「このアプリは、歌声と一緒に、歌詞と音符が見えるので、歌いやすい」という意見が寄せられた。本アプリの利用者は、本教材アプリをダウンロードした人だけではなく、手話うたコンテストの応募作品をYouTubeで閲覧した不特定多数の人も含まれると考えられる。手話うたコンテストの応募作品をYouTubeで閲覧した人の総数は39,187人であった。 インクルーシブ教育に関して、障害のある子とのポジティブな交流経験が大学生の共感性に与える影響について検討することを目的として調査研究をおこなった。大学生180名を対象に調査をおこなった結果、障害のある子との交流をただ経験するだけではなく,ポジティブに認知することが共感性に対して重要であることが示唆された。障害のある子との交流経験をポジティブに認知していることは,その子への理解だけでなく,自分とは違う他者を理解しようとする共感性といった特性にも影響を及ぼすことが考えられる。この成果は、北陸心理学会第53回大会にて報告した(荒木友希子・金澤萌恵 2018 障害のある子どもとのポジティブな交流経験が大学生の共感性に与える影響 北陸心理学会第53回大会発表論文集、p45)。また、人工内耳装用者の音楽聴取やプロソディ知覚の認知心理学的実験をおこなった成果を2本の学術論文として報告した。
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