昨年度に確立したROCFのデジタルデバイスへの描画は、当初の計画であるタブレット端末へのデジタルペンによる描画の使用感が悪いことが初年度に判明したため、アノトデジタルペンを用いて紙媒体に描画し、one noteというソフトを用いてノートパソコンに書き順ごと記録・保存するという方式であった。これは昨年度に続き、最も安定したパフォーマンスを期待できる若年成人の大学生を被験者にして今年度もデータを蓄積した。またROCFの結果と比較検討できるようタブレット上のタッチパネル操作を利用したStroop test、Trail Making Testやハノイの塔、間違い探しなども合わせて並行して検査した。その結果、この紙媒体を利用したROCFのデジタル記録はほぼ完全に支障なくROCFのデータを収集できることが判明した。合計データ数は35例である。2例みられた課題としては、紙媒体への描画がPCに転送される際の一時的な電波の途切れである。デジタルペンとPCとはBleutoothを利用して接続されている。紙媒体・デジタルペンと保存PCの距離は約1mと十分近距離にあり、描画開始前もPCに記録されることを確認しているため、予測できない微小な電波障害と考えられた。描画結果には線分数本以内程度の途切れだったため、検査者の記憶で順番は正しく把握できた。臨床応用は十分可能な使用感であったと予測される。この課題に関しては、念のための撮影や検査者の記録でカバーすることで対応可能である。またStroop TestとTrail Making Testも画面タッチの方法で特に支障なく検査データが蓄積できた。実行機能検査のデジタル保存の可能性を押し広げることができる結果を得た、
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