研究課題/領域番号 |
15K04562
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
北添 紀子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70284437)
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研究分担者 |
上田 規人 高知大学, 保健管理センター, 臨床心理士 (70714187)
松本 秀彦 高知大学, 学生総合支援センター特別修学支援室, 准教授 (70348093)
平野 晋吾 白鴎大学, 教育学部, 講師 (90571654)
是永 かな子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (90380302)
寺田 信一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00346701)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 就労支援 / ビジネスマナーセミナー / 大学生 |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)特性のある大学生への就職支援の重要性は指摘されているが、具体的な支援方法は確立されていない。本研究は、ビジネスマナーに限定をした就職面接セミナーがASD傾向のある大学生に効果があるのかを検討するものである。 ASD傾向のある学生が、理解し習得しやすいように、立ち居振る舞い、挨拶の仕方、声の大きさなど面接の入退室時に必須なビジネスマナーに焦点をあて、ロールプレイを多く取り入れたセミナーを実施した。講師が学生一人一人を直接指導できるようにするため、1回の参加者数は20名程度を上限とした。ASD傾向のある学生も理解しやすいように、各回のテーマを明示し、内容も構造化した。セミナーは、1回1時間30分、全6回を1クール、基本的には1週間に1回のスケジュールとした。 セミナーの効果を判定するために、参加者をAutism-Spectrum Quotient(AQ; Baron-Cohen et al.,2001)得点によりASD傾向の強い群と弱い2群に分け、セミナー前後での面接評定を行った。面接評定は、セミナー講師が、一人約15分の面接を行い、「立っている時の姿勢」、「おじぎの仕方」、「座った時の姿勢」、「歩き方」、「表情」、「相手の話の聞き方」、「敬語の使い方」、「声の大きさ」、「声の聞き取りやすさ」、「面接入退室時の全体的な印象」の10項目につき、5段階で評価を行った。セミナー講師以外に2人の評価者が、同じ項目についてそれぞれ評価を行った。同じ内容について参加者が自己評価を行った。セミナー前後で、ローゼンバーグ自尊感情尺度(Rosenberg,1965)、特性状態不安尺度(STAI; Spielberger,1970)を用いて自尊感情、不安の変化を調査した。 平成27年度のセミナー参加者は、42名であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度のセミナーは3クール実施した。1クール6回のセミナーおよび、セミナー前後の面接評定、質問紙調査は計画通り実施した。セミナーでは、ASD傾向のある学生がビジネスマナーを習得しやすいように、各回の習得課題を初めに提示し、講師がデモンストレーションを行い、その後ロールプレイを多く取り入れた。講師は良いパターンと、悪いパターンの2パターンでのデモンストレーションを行った。講師は、全体練習時、ロールプレイ時に、教室内を巡回しながら、一人一人を直接指導し、良い点、改善点を口頭で具体的に伝えた。 平成27年度のセミナー参加者は42名で、参加上限の60名に届かなかった。これはセミナーのスタートが10月だったため、就職活動の開始時期より少し早く、1、2クール目の参加者が少なかったことも影響している。次年度はセミナーの時期を考えて実施をしたい。 平成27年度については、実施3クール目の実施が3月末であったため、面接評定、質問紙調査の分析は現在のところ終了していない。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は27年度に引き続き、1.就職面接セミナーの実施、2.セミナーの効果判定を実施する。平成28年度は、平成27年度と同じ回数の就職面接支援(セミナー)の実施を継続し、これまでの結果と合わせて検討を行う。セミナーの効果判定のために、面接評定、質問紙(ローゼンバーグ自尊感情尺度、状態特定不安尺度)の結果を検討し、ASD傾向が強い群と弱い群とで効果の違いを検討する。性別、自己評価との差などについても分析を行う。ASD傾向が強い群で、セミナーの効果がないと判断された場合は、セミナーの内容について検討をし、効果的な支援方法について再検討を行う。 平成29年度は最終年度であるため、平成27年、28年度の調査をまとめる予定で、セミナーの開催回数は27年度、28年度よりも少なくすることを考えている。ASD傾向のある学生に対する就職面接について、大学で実施可能な方法を検討する。本セミナーを通して、ASDのある学生への就労支援および、ユニバーサルデザイン化された就職支援について、学内の担当スタッフの理解を広げていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のための旅費の未使用分があり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も、平成27年度と同様、人件費と旅費、消耗品を中心に使用する予定である。人件費は、セミナーの講師、面接の評定者への謝金、および、データ整理のために事務補助者の雇用のために使用する計画をしている。 また、情報収集、成果発表のための旅費使用を計画している。心理査定や記録、保存のための消耗品の購入は予定しているが、高価な備品の購入は予定していない。
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