研究課題
本研究は、ビジネスマナーに限定をした就職面接セミナーの、自閉スペクトラム症(ASD)傾向のある大学生に対する効果を検討するものである。セミナーは、ASD傾向のある学生が理解しやすいように、面接の入退室時に必須なビジネスマナーに焦点をあて、ロールプレイを多く取り入れた。また、各回のテーマを明示し、内容も構造化した。セミナーの効果を判定するために、参加者を性別と、Autism-Spectrum Quotient(AQ)得点によりASD傾向の強い群と弱い2群、合計4群にわけ、セミナー前後での面接評定、自己評価の比較を行った。セミナー講師が、セミナー前後に一人約15分の面接を行い、「表情」、「相手の話の聞き方」など10項目につき、5段階で評価を行った。セミナー講師以外に2人の評価者が、同じ項目についてそれぞれ評価を行った。同じ内容について、参加者も自己評価を行った。セミナー前後で、ローゼンバーグ自尊感情尺度、特性状態不安尺度を用いて自尊感情、不安の変化を調査した。平成27年度、28年度のセミナー参加者は、70名であった。本研究は、補助金助成以前より開始したが、セミナー参加者のうち、事前事後の面接評定,質問紙調査のデータがそろっている94名(男性35名・女性59名)について、セミナー前後の面接評定、自己評価の変化を検討した。面接評定は、セミナー前後(p < 0.001)と4群間(p < 0.001)に有意な主効果が認められ、セミナー後の得点が高かった。セミナー前後と4群間に交互作用は認められなかった。Tukeyの多重比較により、AQ高得点群男性と他の3群との間に有意な差が認められ、AQ高得点群男性の得点が低かった。自己評価については、セミナー前後(p <.001)に有意な主効果が認められ、セミナー後の得点が高かった。4群間(p =0.280)では,主効果は認められなかった。
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精神科
巻: 未定 ページ: 印刷中