特別支援学校,特別支援学級,通級による指導で教育を受ける児童生徒数は,いずれも増加傾向にあり,新たな学習指導要領では,特別支援学級,通級による指導では自立活動の指導を行うことが明示された。これらは,自立活動の指導の担い手の拡大を意味する。 一方で,自立活動は,学習指導要領に目標の系統性や扱う内容の順序性が明示されず,「今,何を指導するか」その判断は授業を担う教師に委ねられるカリキュラム構造にあることから,教師は指導の見通しに不安を抱く現状にある。 そこで本研究では,自立活動の指導を担う教師が「今,なぜこの指導目標・内容を設定するのか」,その根拠を整理し授業づくりに臨む道標(ガイドブック)の作成を第一の目的とした。また,個々の子どもの実態に即して指導を考案する自立活動の指導における力量形成では,現職研修の担う役割が大きい。そこで,現職研修モデルの開発を第二の目的とした。 第一の目的については,自立活動の指導の考え方を20の実践事例に基づき解説したガイドブックを作成した。第二の目的については,まず,自立活動の指導を担う教師の力量形成に関するチェックート(以下,チェックシート)を作成した。担任教師には自己評価を,自立活動に関する校内研修企画を担う教師には自校の教師の実態把握を,行政研修を担う教育センターには各校や初任教師の実態を把握することを目的に活用してもらった。その上で,教育センターと特別支援学校における現職研修の分担や内容等,自立活動に関わる現職研修のモデルについて検討を行った。
|