研究課題/領域番号 |
15K04571
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
小田部 夏子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (20406242)
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研究分担者 |
原田 浩司 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40738168)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 読み書き障害 / 運動覚 / 運動覚心像 / まとまりを見つける能力 |
研究実績の概要 |
発達性読み書き障害には書きそのものに難しさをもつ者も多いが、読みに比べ書きの困難に関する研究は遅れている。書きのつまずきの背景に視覚構成能力、運動覚心像との関連が示唆されており、書きの典型発達に必要な能力に運動覚に関係するものが含まれている。これまでの研究から視覚構成能力の中でも構成方略の問題を掘り下げる必要があると考えられた。その過程に運動覚の問題および運動覚に伴う記憶能力も確認する必要がある。読み書き障害児の運動覚や運動覚心像に伴う記憶能力に関して明らかになっていることは少なく、それを明らかにした上で構成方略を掘り下げ、書きのつまずきの背景を明らかにしていく必要がある。読み書き障害児および典型発達児に運動覚に関する評価を行い、読み書き障害児に運動覚の問題がないか確認する。運動覚に問題がない場合、運動覚心像を伴う記憶力を調べるために文字の運動覚性書字再生、音読課題を実施する。また、構成方略の問題を掘り下げるために漢字の中のまとまりをみつける課題を実施し読み書き障害児と典型発達児の間で比較する。 運動覚の評価課題は手指関節の関節位置覚の再現角度誤差を求める方法で評価を検討している。運動覚心像を伴う記憶能力課題は(1)文字の運動覚性書字再生、(2)文字の運動覚性音読課題を実施する。文字の運動覚性書字再生課題は目隠しをした状態で鉛筆を持った対象児の手を動かして平仮名、カタカナ、漢字それぞれ一文字をなぞり、目隠しをしたまま白紙に書かせる。文字の運動覚性音読課題は、運動覚性書字再生後、何と言う文字だったか口頭で答えさせる。漢字の中のまとまりを見つける課題は中国語簡体字を用いる。偏や旁の構成が同じもので、かつ画数をそろえた4文字を用意し、その4文字と異なる構成の文字を1字混ぜておく。その1字と同じ構成のものと「似ている文字はどれですか」という教示を行いまとまりを見出せるか評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動覚心像を伴う記憶能力課題である文字の運動覚性書字再生および運動覚性音読課題は、典型発達児に実施することが出来ている。今後は読み書き障害児に実施し、比較検討を行う必要がある。運動覚に関する評価に関しては評価方法を現在検討している段階である。今後は予備実験を通して評価方法を模索していく必要がある。まとまりを見つける課題は現在作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
課題作成にあたり、妥当性、信頼性を検討する必要があるが、そのために予備実験として、典型発達成人および典型発達児童に実施し課題を検討する必要がある。現在、当施設に実習にくる大学生やいくつかの学童保育施設にお願いし、課題の実施にむけて調整を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
運動覚を伴う記憶課題の実施に関しては、研究補助者としてアルバイトを雇うつもりであったが、自分ですべて実施することができたために、アルバイト謝金が生じることがなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
運動覚の評価課題の記録のためにビデオカメラが複数台必要となり、運動覚を解析するソフトも必要となる。それを購入するための費用に当てる。また、運動覚評価およびまとまりを見つける課題実施の際は研究補助者としてアルバイトを雇うつもりであるため、その費用にあてる。
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