研究課題/領域番号 |
15K04576
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
新澤 伸子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80553693)
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研究分担者 |
永井 利三郎 プール学院大学, 教育学部, 教授 (50124748)
伊丹 昌一 梅花女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90463281)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 予後調査 / 早期療育 / 親支援 / QOL |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症児の早期療育および親支援プログラムの予後調査により、予後とその影響要因について検討することを目的として、A県内の発達障害児療育拠点センター6か所において、2008年~2010年の間に療育を受けた者846名のうち、研究参加への同意が得られた214名に対し、各療育拠点より以下の質問紙を送付し郵送にて回収した。①AQ日本語版・児童用(AQ)②家族の自信度アンケート③子どもの行動チェックリスト(CBCL)④子どものQOL尺度KINDL(R)の小・中学生版QOL尺度(親用)と、小学生版/中学生版QOL尺度。 回収された質問紙は166通、有効回答は163通であった。対象児の平均年齢は13.6歳(±1.71)であった。対象児のQOL尺度得点を日本の健常な中学生群のデータ(n=2306)と対応のないt検定を用いて比較した結果、「身体的健康」「自尊感情」「家族」「学校生活」「総得点」では対象児のQOLが有意に高く、「友だち」では有意に低かった。さらに、CBCLの下位尺度の「非行的行動」や「攻撃的行動」は90%以上が正常域であったことから、現在の適応状況は概ね良好であることが示された。一方、「社会性」、「思考」、「注意」といった障害特性に関連する問題と、「不安/抑うつ」、「ひきこもり」の二次障害としての問題をもつ子どもが20%程度いることが示された。 自由記述(n=149)の分析では、最も助けになった支援の上位3位は、「療育拠点センター」49名、「放課後等デイサービス」47名、「児童発達支援センター」27名であった。概ね良好な予後の結果が得られた要因として、これらのサービスを受けてきたことが考えられる。また、要望に関する自由記述(n=104)の分析から、サービス内容の充実と継続した支援が抽出され、専門的サービスが学齢期以降も継続して得られることへのニーズが確認できた。
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