研究課題/領域番号 |
15K04578
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研究機関 | 宝塚大学 |
研究代表者 |
河合 洋子 宝塚大学, 看護学部, 教授 (10249344)
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研究分担者 |
大見 サキエ 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 教授 (40329826)
合田 友美 宝塚大学, 看護学部, 講師 (20342298)
滝川 国芳 東洋大学, 文学部, 教授 (00443333)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 小児看護学 / 慢性疾患児 / 病弱・身体虚弱 / 障害者差別解消法 |
研究実績の概要 |
慢性疾患の学生に対する大学の支援体制を知るため,2015年11月,看護系大学250校を対象に郵送法による自記式質問紙調査を実施した。質問内容は,在籍する学生の実情と支援内容・対応,病気・治療等に関する情報共有の状況,学生支援で困難なこと・支援で必要なこと等である。 90校から回答を得た(有効回答率36.0%)。看護学部48.9%,保健系・医学部37.8%,定員83.6±19.0人/年(40-150人),大学の規模500-999名19.9%,1000-1999名15.6%であった。修学支援する部署・機関は56.7%,対応する委員会は61.1%,ボランティア体制は17.8%を有していた。 慢性疾患の学生の在籍は「1~4名」51.1%,「なし」17.8%,「20名以上」8.9%であった。病名はてんかん,糖尿病,膠原病,喘息が多かった。授業・演習の支援は「実技の配慮」44校,「休憩室の確保」17校,実習では「実習指導者との連携」(47校),「保健支援センター等との連携」(46校),授業外の支援は「進路・就職指導」(23校)等であった。授業・演習時の対応で困ったことは「てんかん発作による急な意識消失」,「運動制限への対応」,実習では「易感染状態への配慮」「低血糖発作への対応」等であった。病気・治療に関する情報共有では,専任教員間で「共有する」66.7%,その方法は「会議」で報告・対応を検討,「口頭」で伝える,実習指導者と大学間では「共有する」57.8%,その方法は「打ち合わせ会議」,「口頭」,入学時の情報把握については「共有する」67.8%,その方法は入学時に「書面」(38校),入学後に「面談」(34校),問題が起こった時連絡する(25校)等であった。学生支援で必要なことは,大学全体の支援体制の整備,教職員と本人・保護者との連携,学生が病態を認識し自己管理できる等であり,分析を深める必要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度計画通り,大学の支援体制の実態調査を行い,現状をとらえることにつながったため
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今後の研究の推進方策 |
大学の支援体制の実態調査を分析し,質問紙調査から明らかになった点を検討する。それとともに,慢性疾患の学生の支援体制のモデル案を構築するため,支援体制が整っている大学1,2大学を調査する(研究代表者および共同研究者の大学など)。また学生の情報共有に関しては,個人情報の取り扱いということ,また2016年4月,障害者差別解消法施行後の教育機関の動きを加味しながら,法律への対応についての学習を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては,設備備品としてパソコン,プリンタ等を購入しなかったことがあげられる。また初年度ということで学会などへ出張を行わなかったために旅費が発生しなかったことがあげられる。これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては学会参加のための旅費,データの分析のために必要なパソコンの購入,個人情報の取り扱いに関する学習会のための謝金としたい。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は,昨年調査したデータから,慢性疾患の学生が演習や実習をするうえでの困難なことや対応の状況,学生の情報共有の方法を中心に分析する。そのためには,個人情報の取り扱い(守秘義務と集団守秘義務の切り分け),組織内での情報共有の方法などについて,国内外での文献検討や有識者を交えて学習を深める。また,今年度より障害者差別解消法が施行されるが,国内の大学で慢性疾患の学生に対する支援が進んでいる大学を調査し,どのようなシステムで行っているかなどモデル案検討のための一助としたい。
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