研究課題/領域番号 |
15K04583
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
柴里 弘毅 熊本高等専門学校, その他部局等, 教授 (60259968)
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研究分担者 |
大塚 弘文 熊本高等専門学校, その他部局等, 教授 (10223869)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 重度重複障害 / アシスティブテクノロジー |
研究実績の概要 |
特別支援学校において,肢体不自由・知的障害などを併せ持つ重複障害クラスの授業参観とヒアリングを繰り返し,「絵合わせ」や「型はめ」を用いたマッチング学習において,図形をはめ込むことが困難な児童に適した教材への期待,従来の教材が平面的な対象物にしか適用できない問題を解決したいという教員のニーズを発掘した.そこで,児童らが日常的に使用しているぬいぐるみなど,不定形な立体物も使用可能な実用性の高いマッチング学習教材に着手した.この教材のプロトタイプを作製し試験的に運用した結果,OS・機種依存性や配線の問題が明らかになった.実用的な利用を可能にするため,特別支援学校で広く用いられているタブレット端末iPad(iOS)に対応させるべく,開発環境を新たに構築し,移植作業を行った.その結果,プロトタイプで実装されていた,タグの認識,マッチング判定,音声再生,画像表示までの基本要素技術について移植作業を完了した.また,ICタグリーダとタブレット間の無線通信を実現し,有線時の問題であった準備手続きを大幅に改善することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度の達成目標であった,「プロトタイプを発展させてOS・機種依存性や配線の問題を解決し,特別支援学校で運用可能なシステムとする」ための要素技術の移植を完了した.また,利用者の声を反映させるため,複数の特別支援学校関係者へのヒアリングを行った.福祉機器の展示会などで開発中の機器を出展し,操作インターフェースなどの改善情報を収集した.
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今後の研究の推進方策 |
現行のプロトタイプはWindowsOSとノートPC,USB接続のICタグリーダで動作する.本研究は普及を目指してiPadでの開発を進めるが,並行して,プロトタイプ(Windows tabletベース)の開発も進める.Windowsを並行して開発機として採用するのは,豊富な外部デバイスとプログラム開発の優位性の2つの理由からである.プロトタイプの改良とその機器を利用した利用者の声をスピード感をもって収集し,得られたエッセンスを本研究の主題であるiPadベースの教材開発に反映させる. また,学習記録の自動保存による「見える化」と個人情報の保護機能「見えぬ化」を推し進める.児童ごとの学習効果を明らかにするため,学習内容を自動記録し,学習履歴のグラフィカル表示による情報の見える化を図る.教員が児童指導のために必要とする情報を特別支援学校での評価実験により明らかにし,教員への提示手法を確立する.学習履歴をユーザーを限定せずに集約,多変量解析により分析し,教材を利用した学習の効果を客観的に分析する.
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者の心理状態分析に用いる生体情報計測器の導入に際し,医療目的のものではなく,研究目的で使用される安価なデバイスを評価用として購入したため.
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次年度使用額の使用計画 |
導入した生体情報計測器による被験者の心理状態の分析作業を進め,有意な計測・評価に必要な生体情報計測器を追加で導入する計画である.
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