研究課題/領域番号 |
15K04583
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
柴里 弘毅 熊本高等専門学校, 制御情報システム工学科, 教授 (60259968)
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研究分担者 |
大塚 弘文 熊本高等専門学校, 制御情報システム工学科, 教授 (10223869)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 重度重複障害 / アシスティブテクノロジー |
研究実績の概要 |
特別支援学校に通う児童生徒の自立した生活につながる学習を目的として,RFIDを活用したマッチング学習教材試作機を完成させた.従来の学習教材との大きな相違点は,学習時間や正答の履歴が逐次保存されるため,学習の効果や成長の様子を後から容易に振り返ることができる点である.特別支援学校教諭と連携し,本教材に適した児童の授業で実際に使用した.ただし,平成27年度より2年間,児童の成長の様子を追跡する中で,本教材が当初計画していた学習レベルを児童が超えはじめたことから,マッチング学習の応用版ともいえる「仲間分け学習」,「順序理解学習」教材を新たに開発し,これに適用した.蓄積された学習記録に対し重回帰分析を行った結果,児童の学習特徴が2点確認された.1点目は,学習を重ねることで文字の理解度が直線的に変化していることである.これは,学習を重ねることで,文字の形や意味の理解が学習回数・時間に比例して進んだことを意味しており,予想された結果である.2点目は,2文字で対象物を表す概念が,児童の中で形成途中段階にあるという点である.対象児童は,ひらがなの形状認識はできているにも関わらず,単語の2文字目の正答率が極端に低い.特別支援学校教諭と検討した結果,対象物を表す単語がひらがな2文字で形成されるという概念が形成されておらず,1文字目のひらがなとのみ関連付けられていることに起因すると推測された.これは,蓄積データの分析の結果によりはじめて明らかになった知見で,本教材の有効性が確認された例である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蓄積された学習記録に対し重回帰分析を行った結果,児童の学習特徴が2点確認された.1点目は,学習を重ねることで文字の理解度が直線的に変化していることである.これは,学習を重ねることで,文字の形や意味の理解が学習回数・時間に比例して進んだことを意味しており,予想された結果である.2点目は,2文字で対象物を表す概念が,児童の中で形成途中段階にあるという点である.対象児童は,ひらがなの形状認識はできているにも関わらず,単語の2文字目の正答率が極端に低い.特別支援学校教諭と検討した結果,対象物を表す単語がひらがな2文字で形成されるという概念が形成されておらず,1文字目のひらがなとのみ関連付けられていることに起因すると推測された.これは,蓄積データの分析の結果によりはじめて明らかになった知見で,本教材の有効性が確認された例である.また,児童に成長を2年間追跡する中で,本教材が当初計画していた学習レベルを超えはじめたことから,マッチング学習をさらに発展させた「仲間分け学習」,「順序理解学習」用の教材を新たに開発した. 申請課題の「マッチング教材」に加え,「仲間分け学習」,「順序理解学習」の機能追加も進んでいる.また,教育効果の可視化の効果についても,実際の学習記録から確認されており,当初の計画以上に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ,多変量解析操作はオフラインで行われている.これをオンラインで随時確認できるようにユーザインターフェースの改良を行う.また,対象となる児童生徒を広げ,連携協力校より多くのデータ収集と分析を行い,学習・教育効果の可視化を一層進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りに支出されている.
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の発表,普及に向けた活動に使用する計画である.
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