研究課題/領域番号 |
15K04588
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研究機関 | 大道会森之宮病院 神経リハビリテーション研究部 |
研究代表者 |
小倉 加恵子 大道会森之宮病院 神経リハビリテーション研究部, 神経リハビリテーション研究部, 研究員 (60332780)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳性麻痺 / 粗大運動能力分類システム / 認知機能評価 / 特異的発達障害 |
研究実績の概要 |
当該年度は、昨年度選定した脳性麻痺児における読み書き・算数能力の強みと弱みに関する認知神経学的評価を実施し、加えて画像データ収集を進めていくことを目標とした。 評価およびデータ収集を実施したのは、粗大運動能力分類システムでレベルⅠ~Ⅳの脳性麻痺児12名(男性8名、女性4名)であった。認知神経学的評価として、WISC-4、読み検査課題、算数障害の症状評価のための課題・算数思考課題、Developmental Test of Visual Perception-3 (DTVP-3)、Strength Difficulty Questionnaire (SDQ)などを実施した。また、脳性麻痺における姿勢・運動機能の基礎データとして、手指操作能力分類システム(MACS)、コミュニケーション能力分類システム(CFCS)、粗大運動能力尺度(GMFM)、子どものための機能的自立度評価法(Wee-FIM)を実施した。同時期に頭部MRIによってT1WIおよびDTIの全脳撮像をおこなった。これらの収集したデータをもとにデータベースを構築していった。さらに、学校教育における実際の困難感を明らかにするために、特別支援教育の受講状況と個別支援の内容、および本人や家族の困り感について詳細を聴き取った。 また、当院の既存データを活用して、2006年6月より2015年11月までに森之宮病院小児神経科で実施されたWISC-3知能検査のうち、脳室周囲白質軟化症を伴う痙性両麻痺を呈する脳性麻痺患者に対して施行された30件のデータを集計し、認知神経学的特性について検討した。検討結果は学会で公表した。また、検討結果を踏まえて脳性麻痺児における学習上の困難さの存在について複数の研究会にて講演し、支援者の理解を促すよう努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった脳性麻痺児における認知神経学的評価および神経イメージングの撮像を実施し、データベース構築を始めることができた。今年度は、昨年度に対象者として登録した半数について評価を実施した。健常対象者に関しては、脳性麻痺児対象者の実施状況に合わせて登録を始めた。 当院の既存データを活用したPVLを伴う脳性麻痺児の認知機能特性に関する分析を追加しておこない、本研究で得られる認知神経学的評価の傾向をより実際的につかむことができた。この結果を踏まえて実施する評価の最終決定をおこなえた。また、結果は学会発表と複数の研究会での講演を通じて公表し、支援者の理解を促すとともに、他病院からの紹介を含めた参加希望者の増加を図るよう努めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、計画に従って、研究対象として参加登録した脳性麻痺児に対してのデータ収集を引き続きおこない、データベースを構築していく。また、健常対照群の研究参加登録を進め、同様にデータ収集・集積をおこなう。 最終年度には、構築したデータベースをもとに、統計学的解析を実施し、PVLを伴う脳性麻痺児の認知機能特性と脳構造特性との関連を明らかにし、特異的発達障害との異同を考察し、特別支援教育における効果的な個別的配慮について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
見積もり、請求まで購入手続きを終えた物品について、機器メーカーの都合で納品が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
納品があり次第、購入手続きを完了する。(本文書作成時点で手続きは完了した。)
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