研究課題/領域番号 |
15K04611
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
部家 彰 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80418871)
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研究分担者 |
松尾 直人 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263790)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ホットメッシュ堆積 / ペンタセン気相重合 / グラフェン/ペンタセン積層構造 / 触媒体 / ペリペンタセン / Ni担持W / 膜厚場計測 |
研究実績の概要 |
本年度はホットメッシュ堆積法(ペンタセン気相重合法)により、グラフェン/ペンタセン積層構造を作製し、2次元材料(グラフェン)と3次元材料(ペンタセン)間の相対論的粒子の移動機構を解明するため、まず、グラフェン膜の形成とその場膜厚計測に関する検討を行った。 ペンタセンを原料としてグラフェンを効率よく形成するには加熱触媒体上での分解反応を促進する必要がある。そのため、触媒体を複数設置することで、分解種の分解を促進させることを試みた。その結果、触媒体が1つの場合に比べて、ペンタセン分解種の気相重合反応を促進し、グラフェン(ペリペンタセン)を容易に形成できることが明らかとなった。また、1つの触媒体でも分解を促進できるよう、触媒体であるタングステン(W)表面にニッケル(Ni)を担持し、その特性についても検討した。 現有グラフェン成膜装置では膜厚を原料の投入量で制御しており、膜厚の制御性・再現性に問題があった。そこで、グラフェンおよびペンタセンの膜厚をその場計測し、膜厚を制御するための水晶振動子膜厚計の評価を行った。本成膜法では加熱触媒体からの熱輻射の影響により、センサ(水晶振動子)が加熱され、さらに雰囲気中の原子状水素の影響により、膜厚を正確に評価できないことが懸念されたが、加熱触媒体とセンサとの距離や触媒体温度の変化による表示膜厚の変化から、センサ温度を考慮することで、数オングストロームの極薄の膜厚をその場計測できることが明らかとなった。 次年度は本手法で形成したグラフェンの粒径・欠陥密度の定量評価を行うと共に、グラフェン/ペンタセン積層構造を作製し、その電気特性を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では本年度中にグラフェン/ペンタセン積層構造を作製する予定であったが、少し遅れている。しかし、触媒体の検討・改良およびその場膜厚計測法の確立により、極薄膜のグラフェンを従来に比べ、安定して形成できるようにしたため、グラフェン/ペンタセン積層構造を作製することは問題なく進められると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得た結果を基にグラフェン/ペンタセン積層構造を作製し、構造や電気特性を評価する。予想される特性が得られない場合はグラフェン膜およびグラフェン/ペンタセン界面の特性改善を行う。
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