研究実績の概要 |
Pd1-xPtxの固溶体合金ナノ粒子の原子配列構造、電子状態と水素吸蔵特性との関連を調べた。高エネルギーX線散乱、2体分布関数、逆モンテカルロモデリング、X線吸収微細構造(XAFS)、硬X線光電子分光(HAXPES)を用いた。 1) Pd0.92Pt0.08に固溶体NPにおける水素吸蔵特性が増大することは、cavityの体積と関連付けられた。2) Pd0.92Pt0.08に固溶体NPのPd-Pdの配位数が大きいことと、その水素吸蔵特性に関連がある。3) x>0.15ではxの増加とともにPd1-xPtx固溶体NPの水素吸蔵特性が減少するのは、伝導体のホールの減少と関連する。4) Pd1-xPtx固溶体NP の水素化合物の安定性と価電子帯のd-band centerを議論し、xの減少とともにd-band center はフェルミレベルに近づくという相関を得た。 MgxNi1-xO酸化物薄膜の原子配列構造、電子状態を解析した。シンクロトロンX線を用いた薄膜回折、XAFSにより構造を調べ、HAXPES、理論計算により、電子状態を調べた。得られた結果をリストする。 1)ドーパントのMgはNi置換サイトに入る。 Mgのドープ量が増えると、NiO6八面体は面内方向に大きくなった。2)薄膜回折の結果から、薄膜の構造秩序パラメータを導入し、薄膜のデバイ温度と関係づけた。 x=0, 0.32,0.52に対し、推定されたデバイ温度は196±67, 182±50 121±12 K、構造秩序パラメータ(高結晶性ほど1に近い)は0.81±0.08, 0.75±0.11 0.49±0.06を得た。3)Zhang-Rice2重項束縛状態を含む配置間相互作用モデルを基にすると、 Ni3dとZhang-Rice double bound state間で電子移動が生じ軌道混成が起きたことが分かった。
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