研究課題
有機トランジスタや有機太陽電池など、有機半導体材料を用いた電子デバイスは、軽く、やわらかく、成膜に必要とするエネルギーが 比較的少ないという特徴がある。また大面積デバイスなどへの応用に向けて多くの期待が寄せられている。しかしながら、有機電子デ バイスの実用化のためには、活性層中のキャリアの移動度をさらに向上させるとともに、個々の素子について再現性のある安定な動作 を保証する必要がある。このために、多結晶性の有機半導体薄膜中の粒界密度をいかにして減らすか、金属電極との接触抵抗をいかに して減らすか、膜中の水分等の不純物を減らし、界面に形成される構造欠陥によるトラップ準位をいかにして減少させるか、という課題がある。これらの課題を解決するために、有機分子の基板上や電極との界面における詳細な構造を解明し、有機分子の配向、配列の 制御する方法を確立し、単結晶の薄膜を作製する技術を開発する必要がある。そのために、有機薄膜の蒸着過程、とりわけ第一分子層 が形成される前後の初期過程の膜の構造をリアルタイムで知ることにより成膜制御に関する極めて重要な情報が得られる。 本研究では、有機薄膜形成過程の結晶成長機構を解明するため、放射光施設(SPring-8)に自作の真空蒸着装置を設置し、成膜中のリア ルタイム2次元X線回折実験を行った。この方法により有機薄膜の初期層および膜の形成過程の結晶構造を解明することが可能となり、 有機デバイスの特性を決定づける基板上の第1層目の構造や金属電極上の構造、さらにpn接合構造形成の過程の詳細を究明すること可能となった。さらに、有機半導体の分子構造と成長機構の解明や結晶構造の膜厚依存性をX線回折より明らかにした。また、有機薄膜太陽電池形用材料の開発と薄膜の構造解析により、有機電子デバイスの特性と構造の相関を明らかにした。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 産業財産権 (1件)
Jpn. J. Appl. Phys.
巻: 57 ページ: 03EG14
https://doi.org/10.7567/JJAP.57.03EG14
巻: 57 ページ: 03EG12
https://doi.org/10.7567/JJAP.57.03EG12
Mol. Cryst. Liq. Cryst. Vol.
巻: 654 ページ: 47-52
doi.org/10.1080/15421406.2017.1355212
Org. Chem. Front.
巻: 4 ページ: 1561-1573
DOI:10.1039/C7QO00222J
J. Mater. Chem. A
巻: 5 ページ: 14003-14011
DOI:10.1039/C7TA04162D
Org. Electron.
巻: 48 ページ: 96-105
DOI: 10.1016/j.orgel.2017.05.049
J. Cryst. Growth
巻: 468 ページ: 816–820
http://dx.doi.org/10.1016/j.jcrysgro.2017.01.051