本研究は68℃付近で4桁に及ぶ抵抗変化を伴う絶縁体-金属転移(IMT)を発現する二酸化バナジウム(VO2)薄膜を動作層とする自励発振現象に関するものである.配向TiN(111)上へ低温成膜によって界面特性に優れるVO2/TiN/Ti/Si積層素子を作製した.本素子は1.6 Vの低電圧において負性抵抗域を持つしきい値スイッチングを示した.更に,TiN層とVO2薄膜にプローバー探針を当て,その接触圧を5~150 MPaと変化させた結果,60 MPa時に15 MHzの世界最高周波数を得た.本発振はVO2の中間相を経由している可能性があり,構造安定な発振素子実現に重要な成果と考えられる.
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