研究実績の概要 |
H27年度は,本研究で用いる磁性半導体 InMnAs薄膜の磁気特性評価を行った。InMnAs薄膜は,GaAs基板上のGaSbバッファ層に分子線エピタキシー法で成膜したものである(連携研究者(宗片教授)が成膜を担当)。InMnAs層厚 20 nmに固定し,Mn濃度を10, 12, 14 %の三水準,Mn濃度を12 %に固定し,InMnAs層厚を 10, 20 nmの二水準の試料を用意し,本助成金で購入した回転導入機構を用いて,異常ホール効果の温度依存性・印加磁場角度依存性の測定を行った。InMnAs層面内方向に磁場を印加した場合,磁化の反転は面内で回転するか一旦面直を向いてから反転するかの2つの場合が考えられ,磁化が面内に向きやすい場合は面内で回転すると推測できる。その結果,膜厚が20 nmの場合,Mn濃度が12 %では,磁化が面直方向を向きやすく,それよりもMn濃度が低くても(10 %),高くても(14 %),磁化は面内方向を向きやすくなることが分かった。また,Mn濃度が12 %の場合,膜厚が20 nmより薄い時は,磁化が面直を向きやすいことが分かった。 本研究では,磁性半導体を最小で数十nmサイズの細線構造に加工し、次に、超伝導細線を交差するように形成し、所望の接合面積を有する超伝導体/磁性半導体接合を作製する必要が有る。H27年度は,電子ビーム露光によるパターン形成、ドライエッチングによる低ダメージ加工により、磁性半導体の微細構造を形成するための,電子ビーム露光条件,ドライエッチング条件等の最適化を行った。その結果,連携研究者(入江氏)の協力を受けて,InMnAs薄膜をチャネル幅100 nmから2000 nm,チャネル長300 nmから6000 nmの細線に加工することに成功した。
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