研究課題
近年,次世代光ディスク,火炎センサー,医療用PETなど紫外線の検出に注目が集まっている。特に,医療用に必要な微弱光の検出には,光電子増倍管が用いられている。そのため,装置が大型で壊れやすく高価になるという問題点がある。この光電子増倍管を全固体素子であるアバランシェ・フォトダイオード(APD)に置き換えることができれば,上記問題が解決されるだけでなく集積化も可能となる。本研究では,ZnSe系有機-無機ハイブリッド型アバランシェ・フォトダイオード(APD)により紫外線APDのもつ感度および暗電流などの課題を打破して,紫外線光波帯で初めて実用的な集積型APDを実現することを目的とした。本研究は,無機層としてZnSSeを,有機層としてPEDOT:PSSを用いたZnSe系有機-無機ハイブリッド型APDにおいて,低暗電流化・安定動作化,および集積化を目指し,実用に供しうる紫外線領域の全固体高感度集積型光検出器を実現しようとするものである。具体的には,窓層である紫外透明導電膜PEDOT:PSSをインクジェット法により形成することにより,現在実現している低暗電流特性の安定化と,APDアレイを発展させた集積化を実現し,ポリイミドパッシベーション膜および素子雰囲気制御を用いることにより長寿命化を実現した。本研究による紫外集積型APDが実用化されれば,高速ラインスキャンが可能な1次元APDアレイ,微弱紫外光撮像デバイス等の実現が期待される。これらの集積型APDデバイスは,前述した次世代高速・高精細PET装置等の医療分野のみならず,今まで微弱紫外線の撮像が難しかった天文計測分野,科学計測分野,次世代光ディスク,火炎センサー,ミサイル追尾など多様な分野にわたり貢献できるものと考えられる。
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Journal of Electronic Materials
巻: 47 ページ: -