グラフォエピタキシーは、基板表面に人工的に作製した溝等の微細構造に対して面内配向した結晶薄膜が成長する疑似的なエピタキシー現象である。この現象が有機半導体分子系でも起こることを2006 年に報告したが、メカニズムは未明瞭であり、本課題では、分子動力学(MD)シミュレーションを駆使して分子レベルの素過程を解明する研究に取り組んだ。溝のある基板のモデルを作成し、その溝の中で有機半導体分子がどのように振舞うかをシミュレートしたところ、実験で得られた溝壁面に対する面内配向を再現できたほか、分子の堆積、結晶化過程まで含めた有機グラフォエピタキシーの総合的シミュレーションにも成功した。
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