研究実績の概要 |
本年度は走査型マイクロインジェクション顕微鏡の要素技術のひとつとなっているガラスナノピペットの真空コンダクタンス計測によるピペットの非破壊評価法について、雑誌「Japanese Journal of Applied Physics」に報告を行った。また、共同研究者の東北大学多元物質科学研究所の高桑研究室で共同開発した真空コンダクタンス計測装置を基にして、ドライポンプを1台購入して工学院大学ナノ化学研究室で装置の作製を行った。現在本装置の始動のための準備を行っている。 また、要素技術開発として、電極となる白金イリジウム線の交流電解研磨の周波数依存性と、セシウムイオンを選別できるナノピペットプローブの開発も行った。交流電解研磨では、100 Hz,1000 Hz, 10000 Hzでの電解研磨を行って研磨後の電極先端の形状を電子顕微鏡で確認して、先端の清浄・安定度を走査トンネル顕微鏡探針として使用して確認した。その結果、1000 Hzの交流を用いた場合が最適な研磨となることがわかり、その交流電解研磨の機構についてモデルの提案を行った。また、セシウムイオン選別ナノピペットプローブの開発については、カリウムとの選択係数が-0.8~-2.1、ナトリウムとの選択係数が-0.1~-0.9という負の選択係数が得られたことから、セシウムイオンと他のイオンとの選別はできていることが確認されたが、更に選択係数の値をよくするための研究を進めている。 また、ピペットのタップ・ツイスト振動動作については、静岡大学工学部機械工学科の岩田研究室との連携で進めているが、本装置を工学院大学ナノ化学研究室で作製する準備を進めており、倒立型光学顕微鏡の上での動作確認を進めている。
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