当該年度においては、前年度までにプロセス開発および作製した光化学修飾フッ素官能基化ポリマー材料について、撥水性・撥油性・生体適合性などの材料表面特性について検討した。 具体的には、パーフルオロアルキルアゾオクタン溶液をシート状または板状のポリマー材料表面に塗布した後、キセノンエキシマランプを照射する塗布光化学修飾法により作製したフッ素官能基化ポリマー材料について、接触角計を用いた撥水性および撥油性評価を行った。各種汎用およびエンジニアリングポリマー材料(ポリエチレン、ポリプロピレン、PMMA、ポリ塩化ビニル、PET、ポリカーボネート、ABS樹脂)のフッ素官能基化処理を行い、水に対する接触角を測定したところ、未処理基材と比較して接触角が向上し、PTFEに匹敵する撥水性(100-113°)を示した。また、油接触角を測定するためウンデカンを用いたところ、フッ素官能基修飾ポリマー材料は水接触角と同様にPTFEに匹敵する撥油性(47-56°)を示したことから、本表面化学修飾技術は各種ポリマー材料の撥水撥油性発現に非常に有効である。 さらに、フッ素官能基化ポリマー材料の生体適合性評価を行った。基材ポリマーとして、各種汎用ポリマー材料4種(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂)を用い、γ-グロブリン吸着量について未処理ポリマー材料との比較を行ったところ、フッ素官能基化ポリマー材料は大幅なタンパク吸着量抑制効果が発現され、生体適合性を示すことが明らかとなった。
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