研究課題
等色関数は単位エネルギーをもつ単色光の三刺激値として定義される。等色関数を最大彩度法とマクスウェル法の2方法により測定した。等色関数の測定には波長分布可変刺激呈示装置を用いた。原刺激には狭波長帯域の赤,緑,青光を呈示し,これらの混色光と波長可変のテスト光の等色を行った。波長分布可変刺激装置では空間的に視野を2つに分けることは困難であるので,単色光のテスト光とR, G, Bの混色光を時間的に交互に呈示する方法をとった。最大彩度法では,テスト単色光の色と赤,緑,青の原刺激の混色により等色した。マクスウェル法においては,参照刺激は常に3つの原刺激の混色による白色光を呈示し,マッチング視野にはテスト単色光と3つの原刺激の内の2つの原刺激の混色光を呈示した。等色に関するグラスマンの法則のひとつである加法則が成立するならば,最大彩度法で等色している2つの視野の両方に同一の光刺激を加え白色にしても等色は成立することになる。つまり,最大彩度法とマクスウェル法の2つの等色実験を行うことにより加法則の検証ができることになる。その結果、短波長域において、マクスウェル法は最大彩度法より高い感度を示し、加法則が成立しないことが判明した。測色の基本的な値である光の三刺激値はその光を構成する各波長の三刺激値を波長積分することによって計算されるが,加法則の不成立はこの波長積分が適用できないことを意味し,極めて重要な問題である。この研究成果は2015年の日本照明工業会報に解説として発表した。
2: おおむね順調に進展している
初年度はほぼ計画通り順調に進んでいる。
分光放射分布の異なる種々の光源をテスト視野に呈示し,等色実験を行う。原刺激は等色関数の測定に用いたものと同様,赤,緑,青のLED光源を使用する。等色線形性を調べるには高輝度のテスト刺激,およびマッチング刺激が必要となり,LED 原刺激等色実験装置が必要となる。テスト光源として,種々のタイプの白色LED, 有機EL, HID(High Intensity Discharge)ランプ,蛍光灯,ハロゲン電球等,入手可能なできる限り多くの照明用白色光源を使用する。多数の分光放射分布の異なる白色光源の等色実験を行うことにより,理論的には多数の単色光を用いた場合の等色実験と同様に,等色関数を求めることができる。さらに前年度に得られた等色関数との比較検討を行う。
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