空中に再生された立体像に触ることによってユーザからの操作を認識する「3Dタッチ」ユーザインタフェース技術に関して、システムのフィージビリティを向上するための開発を行った。ホログラフィック・スクリーンを用いたライトフィールド・ディスプレイに関しては、プロジェクタとスクリーンの位置合わせを精密に行う必要がある。これまでにテストパターンを投影して得られた歪みパラメータを用いて投影画像を逆補正することで自動的にキャリブレーションを行う手法を開発したが、パターン枚数がスクリーン解像度に比例して多数必要になるため処理に長い時間を要していた。本年度は、位置合わせを行うための新たなテストパターンとして二進コード化パターンを用い、これを階層的に反復投影する手法を提案し、従来よりも高速なキャリブレーションを可能とした。またホログラフィック・スクリーンは、これまで銀塩感光材料を用いて作成したものを用いていたが、フォトポリマーへの記録を行うことで回折効率の向上、ノイズ低減を図ることができた。3Dタッチに関しては、色を用いて検出された指先に対して構造化ライトフィールドを投影することで、タッチの奥行き位置の検出を行う方法の開発を行った。さらに、スクリーンへの入射角やカメラ配置の設計により空中像に対するタッチ検出範囲を拡大するとともにPoC(Proof of Concept)デモシステムを構築し、提案するシステムのコンセプト実証を行った。
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