研究課題/領域番号 |
15K04697
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
鶴町 徳昭 香川大学, 工学部, 准教授 (50372719)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メタマテリアル / テラヘルツ波 / フォトニック結晶 / 超高速現象 |
研究実績の概要 |
メタマテリアルと1DPCの融合による波長可変型超高速THzスイッチに関する研究遂行のために,まず光励起により誘電関数が超高速に変化するようなTHz域のメタマテリアルが必要である.今年度は要素技術の確立としてTHz域のメタマテリアル試料の作製を行った.長さ,幅,そして相互の間隔の異なる様々な金属カットワイヤ構造の透過特性をFDTD法により計算し,サンプル設計を行った.そしてフォトリソグラフィー法により実際に作製し,THz時間領域分光法によりそれらの透過スペクトルを測定した.長さの違いによる共鳴周波数の変化や間隔の違いによるQ値の変化などが観測でき,所望の周波数帯で様々なスペクトル設計ができるようになった.また,屈折率が大きな構造として知られているI型構造の設計・作製も行っており,今後その透過測定を詳細に調べる. 一方,光励起によるスペクトル変化を調べるための光ポンプTHzプローブ分光計の構築も行っており,現在その整備中である.それに加えて再生増幅器を利用した空気プラズマからの高強度THz波発生実験を行っており,光ポンプTHzプローブ分光のみならず,高強度THzポンプ光もしくはTHzプローブ分光の実験も開始した.これによりTHz帯の非線形現象の観測が期待でき,当初の計画以上の研究の広がりが期待できる.現在,高強度THzによるスペクトル変調を利用した超高速スイッチも視野に入れ,半導体を欠陥層に含むTHz帯1次元フォトニック結晶を試料としたTHz波の透過スペクトルの強度依存性について調査中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半導体基板上のTHz帯メタマテリアルの作製に関して,本年度はFDTDによる数値計算を通じたサンプル設計,リソグラフィー法による実際の作製などの一連の流れを確立することができた.これは当初の計画にほぼ沿ったものである.一方,光ポンププローブ分光に関しては今年度は大きな進展はなかったものの,以前にも行ったことがある技術であり,今後の整備は期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は高屈折率のTHzメタマテリアルの作製を目標とするとともに,光励起によるスペクトル変調の確認を行っていく予定である.1次元フォトニック結晶中にこれらのメタマテリアルを導入することも視野に入れるとともに,当初予定にはなかった高強度THz波を用いたTHz帯の非線形現象の実験も加えてメタマテリアルと1DPCの融合による波長可変型超高速THzスイッチに関する研究全体に広がりを見せたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張を取りやめたことなどで,使用額が浮いた.これを利用して次年度,物品購入に役立てようと考えた.
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次年度使用額の使用計画 |
サンプル作製技術の確立により,測定頻度が増加したことに伴い,もう一系統,THz時間領域分光実験系を増築する予定であり,そのための物品費に用いる予定である.
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