研究課題/領域番号 |
15K04698
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
山田 逸成 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (40586210)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ワイヤグリッド偏光子 / ゾル-ゲル法 / インプリント法 |
研究実績の概要 |
【研究の目的と平成28年度の目標】 赤外用ワイヤグリッド偏光子の基板として用いられるフッ化物は難加工性、ゲルマニウム基板は高価であることが問題とされている。さらに、数百nm周期の金属格子を要するため、非常に高価になってしまうことが大きな課題であった。この課題を解決するため、本研究ではプロセスが単純なゾル-ゲル法とインプリント法で基板表面に狭周期構造を形成することにより、赤外用ワイヤグリッド偏光子の製作を行うことを目的とした。 平成28年度は赤外光を透過するSi基板上に、ゾル-ゲル法によりクラックフリーの赤外透過酸化膜の成膜条件を見出した後に、レジストパターンから転写形成したPDMSモールドとゾル-ゲル法で得られる酸化膜との離型性を高めるための、PDMSモールド表面の形状や成型条件などについて検討することを目標としている。 【実験と結果】 平成27年度に二光束干渉露光で形成したフォトレジストパターンをマスターモールドとして、PDMSへの構造転写(周期400nm)に成功した。平成28年度はジルコニアの分散液をPDMSモールドに滴下し、シリコン基板を乗せ、150度で加熱・離型して、ジルコニア格子の形成を試みた。結果として、周期400nmのジルコニア格子を形成することができ、Alの斜め蒸着により、同周期のAl格子を10mm径以上の面積で形成することができた。赤外評価を行った結果、赤外域で高い消光比(波長2.5~7.8μmで20dB以上)を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度の計画では、PDMSモールドからゾル-ゲル法を用いて赤外光を透過する酸化物の格子膜の作製を行うことを目標として設定していたが、ゾル-ゲル法を用いて狭周期のジルコニア格子膜を形成し、さらにAl格子膜を成膜したことで、赤外域で偏光子として機能することが確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
得られたジルコニア格子は周期400nmに対し、100nm程度の高さであり、様々な応用に考慮したうえで、より高いアスペクトを有する格子の形成が求められる。それゆえ、高いアスペクト比を持つ格子の形成を行っていくことと、より高いTM偏光透過率を目指すことが29年度の目標である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果が計画より早く得られたので、国際学会、国内学会での発表を行うため、予算が必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会、国内学会で計3回以上発表する予定であり、旅費や参加費としてこの予算の一部を充当するつもりである。
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