サブ波長周期構造の形成により,偏光制御(ワイヤグリッド偏光子,波長板)や,反射防止などの機能が発現することが知られている。しかしながら,サブ波長周期構造形成のための微細加工においては,ドライエッチングなどのプロセスが不可欠なため、高価な装置が必要であり、プロセスの簡易化や低コスト化が課題として残っていた。 本研究では,簡易なプロセスとして注目されているゾル⁻ゲル法とインプリント加工に注目し,ゾル-ゲル法とシリコーン樹脂をモールド材料としたインプリント法を利用した作製プロセスを用いた。シリコーン樹脂は,レジストパターンからの転写によって微細構造が容易に形成でき,化学的安定性や耐熱性,離型性が優れているため,インプリント加工におけるモールドとして利用できる。また,ゾル-ゲル法は簡易な環境で酸化物を合成でき,インプリント加工により成型が可能である。本研究では,これらの方法を併用することにより、赤外域で透過するジルコニアのサブ波長周期構造(格子周期400nm,格子高さ100nm)を形成することができた。この格子表面にアルミニウム(Al)の斜め蒸着により、100nmのAl格子を形成し、赤外域用ワイヤグリッド偏光子の作製を行った。結果として,2.5~7.8μmの波長域で20dBを超える消光比が得られた。このプロセスを微細構造を有する偏光デバイスの作製に適用することで,大幅なコスト削減が期待できる。
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