溶液中の粒子の粒子径と測定領域内の粒子数を測定する共焦点動的光散乱測定システムを、出力20mW、波長532nmのファイバー出力型DPSSLレーザーを光源として用いオリンパス社製倒立顕微鏡IX71をベースに測定システムを構築した。粒子からの散乱光は光電子増倍管で検出され、相関器(ALV5000)によって散乱光の時間相関関数が計算される。時間相関関数を、モデル関数にフィッティングすることで、粒子数と粒子径を推定する。単一粒子と混合粒子を測定試料とした場合の共焦点動的光散乱測定システムで計測される時間相関関数を理論的に導出も行い、それをフィッティングのモデル関数として用いた。 まず、粒子径20nmと100nmのポリスチレン粒子、粒子径約10nmのウシ血清アルブミンタンパクを測定試料として濃度と粒子径の測定を行った。これらの測定から、共焦点動的光散乱を用いることで溶液中に分散する粒子の粒子数と粒子径を1つの測定で計測できることを示した。 次に、80nmと100nmのポリスチレン粒子の混合溶液を測定試料として、2つの粒子の粒子径とそれぞれの粒子数の推定を行った。混合粒子のモデル関数を用いてフィッティングを行った結果、それぞれの粒子径を推定することに成功した。しかし、2つの粒子の粒子数は、フィッティングから推定することができなかった。そこで、時間相関関数の測定時に同時に測定されている散乱光強度の情報も粒子数の推定に用いる方法を考え、粒子数推定を行った。その結果、2種類の粒子の混合比を変化させたところ、それぞれの推定される粒子数が混合比の増加にほぼ比例することを示した。これにより、混合溶液に対して、2つの粒子の粒子径とそれぞれの粒子数の推定が可能であることを示した。
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