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2016 年度 実施状況報告書

Development of a dense source of highly-charged ions for X-ray quantum optics

研究課題

研究課題/領域番号 15K04707
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

HARRIES JAMES  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 主幹研究員(定常) (30416383)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード原子・分子
研究実績の概要

本研究の最終目的は、自由電子レーザー等のコヒーレントX線を利用した量子光学手法開発のための試料づくりである。可視光における量子光学では気体状態の原子(例えばルビジウム、セシウム等)がよく用いられるが、より短い波長が対象になるとa)窓がつかえないとb)適切な励起状態がない、という二つの問題を克服する必要がある。多価のイオンの利用によって、短波長でも適切な順位系が用意できるので、本研究では密度の高い、多価イオンのサンプルの生成法の開発を目指しています。本年度は以下の進歩を報告する。
1)小型、永久磁石を利用した電子ビームイオントラップの開発を進めた。基本的な機能についてはドイツのグループと協同で開発し、国際会議にて発表を行っている。キセノン36+のイオン生成は確認できている。2)自由電子レーザーの利用実験を実施した。本研究のために開発した高密度ガスセルを利用し、中性のターゲット原子から可視光の超蛍光の観測に成功した。又、指向性の高いEUV発光の観測にも成功した。ストリークカメラを利用し、EUV発光と励起光の時間構造の違いも確認できた。3) 超蛍光を観測した実験結果の理解のため、数値計算を進めた。成果は論文で発表した。4)EUV発光を理解するためには(3)の数値計算に伝搬を加え、大型並列計算機をつかった計算を試みた。5)イオンを利用して、EUV超蛍光を実現するために自由電子レーザーのマシンタイムを確保した(2017年6月実施予定)。(2)、(3)、(4)の成果については国内会議で発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

手法開発および数値計算の面では当初の計画以上に進展しているが、自由電子レーザーのマシンタイムが確保できたのは2016年11月となったので、実験は当初の計画よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

今後の研究の進展方策は概ねに以下のように予定しています。
2017年4月~10月。i)SACLAのBL1を利用したマシンタイムの実施。ヘリウムイオンからのEUV超蛍光の観測を目指す(波長20 nm から 30 nm)。最初の実験は中性ヘリウムをターゲットにするが、自由電子レーザの波長をイオン化閾値付近に併せることによって、高密度のヘリウムイオンのターゲットがパルス内に生成できる。同じパルス内に2光子吸収でヘリウムイオンの3s/3d, 又は4s/4d状態を励起させると、いわゆる「ヨークド」超蛍光の脱励起が期待できる。
ii)より高いチャージステートのイオンが利用できるガスセル装置の開発
2017年10月以後
より高いチャージステートのイオン(より短い波長)を目的としたSACLAのBL1を利用した実験。

次年度使用額が生じた理由

予算の執行がやや当初の計画より遅れて理由はi)自由電子レーザーのマシンタイムを確保するのに予想より時間がかかったことと、ii)国外の動向に併せて、方向を少し変更する必要が生じたため、である。

次年度使用額の使用計画

2017年度中には以下の使用を予定している。
イオンを利用した実験のための装置開発・物品購入(90万円)、多価イオン生成の為の装置開発(80万円)、数値計算のためのパソコンの購入(20万円)、国際会議にて成果発表(35万円)、国内会議の成果発表(10万円)。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Single-atom response of helium atoms to pulses from an EUV free-electron laser: Implications for the subsequent development of superfluorescence2017

    • 著者名/発表者名
      Harries J R, Ohae C, Kuma S, Nakajima K, Togashi T, Miyamoto Y, Sasao N, Iwayama H, Nagasono M, Yabashi M and Shigemasa E
    • 雑誌名

      Phys. Rev. A

      巻: 94 ページ: 63416

    • DOI

      10.1103/PhysRevA.94.063416

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] EUV-FEL 光とヘリウム原子の相互作用:実験と数値計算2017

    • 著者名/発表者名
      J R Harries, 岩山 洋士, 藤瀬光香, 久間 晋, 大和田成起, 井上伊知郎, 富樫格, 玉作賢治, 繁政英治
    • 学会等名
      日本物理学会第72 回年次大会(2017年)
    • 発表場所
      大坂大学 豊中キャンパス (大阪府)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-20
  • [学会発表] EUV-FEL励起1s4pへリム原子集団における超蛍光・超放射の実験と数値計算2016

    • 著者名/発表者名
      J R Harries, 岩山 洋士, 久間 晋,宮本祐樹、永園 充, 中嶋 享, 大饗千彰, 富樫 格, 繁政英治, 笹尾 登
    • 学会等名
      日本物理学会2016年秋季大会
    • 発表場所
      金沢大学 (石川県、金沢市)
    • 年月日
      2016-09-13 – 2016-09-16
  • [学会発表] Compact 0.86 T room-temperature electron beam ion traps2016

    • 著者名/発表者名
      P Micke, S Bernitt, K Blaum, L F. Buchauer, T M. Bucking, A Cieluch, A Egl, J R Harries, D Hollain , S A. King, S Kraemer, S Kuhn , T Leopold, T Pfeifer, T Stohlker, S Sturm, J Ullrich, R Wolf, P O. Schmidt , J-R. Crespo Lppez-Urrutia
    • 学会等名
      European Conference on Atomic and Molecular Physics
    • 発表場所
      ドイツ国、フランクフルト市
    • 年月日
      2016-09-05 – 2016-09-09
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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