研究課題/領域番号 |
15K04710
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
赤羽 浩一 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所ネットワーク基盤研究室, 主任研究員 (50359072)
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研究分担者 |
川西 哲也 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40359063)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 量子ドット / テラヘルツ波 / 2波長レーザ / 歪補償 |
研究実績の概要 |
本研究ではテラヘルツ波発生のための一つの手法である2つの波長のレーザ光用いた差周波発生に対して、発振が安定な2波長同時発振レーザを構築することを目的とした。この際、半導体量子ドットを光利得材料に用いることにより安定な2波長発振を実現することを目的とした。平成28年度は27年度に実現した波長1550nm帯で動作する2波長量子ドットレーザの高周波数化に関する研究をおこなった。外部キャビティ構造の構成は、量子ドットゲインチップ、エタロンフィルタ、狭帯域フィルタを共振器内に有するものである。量子ドットゲインチップとしてはInP(311)B基板上に形成されたInAs自己形成量子ドットレーザ構造を用いた。量子ドットは歪補償法を適用し、多重積層構造にすることにより大きな利得が得られるように設計した。2つの波長間隔を決定するエタロンフィルタは0.3THzと1THzのものを設計した。また、これに合わせて他の波長成分の発振を抑制する狭帯域フィルタの設計を変更した。これらの新しいコンポーネントを用い、2波長発振の周波数変化を行う実験では、設計された周波数間隔とほぼ一致する0.299THzと0.99THzの波長間隔を持つ2波長発振が観測された。2波長と他のノイズ成分との信号-ノイズ比は35dB以上あり、ノイズの少ない良好な2波長光源が実現できた。また、マイケルソン干渉計による干渉信号測定の実験も行い、2波長間隔に相当する周期でビート信号の測定に成功した。これらの結果より半導体量子ドットを光利得材料とした外部キャビティ構造の構築によりより周波数間隔の広い2波長同時発振レーザが実現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた目標を着実に達成することが出来た。周波数間隔は昨年度の0.1THzから1THzまで制御が可能になっており、研究は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度はこれまでに得られた2波長レーザを用いて実際にテラヘルツ波の発生を目指す。THz周波数間隔のビート信号を高速の光検出器に導入し直接光電変換する手法や、非線形光学材料による差周波発生を行う手法などを検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究の実施が当初の予想より順調に進んだため、光学部品等の物品購入費が少なくて済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度はより高度な研究を実施する予定であるため、これに必要な光学部品、電子部品等の物品購入に使用する予定である。
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