研究課題
本研究ではテラヘルツ発生のための一つの手法である2つの波長のレーザ光を用いた差周波発生に対して、発振が安定な2波長同時発振レーザを構築することを目的とした。この際、半導体量子ドットを光利得材料に用いることにより安定な2波長発振を実現することを目指した。平成29年度は平成28年度までに実現した波長間隔が90GHz、300GHz、1THzの2波長発振レーザのうち、90GHz間隔の2波長レーザを使用し、実際に90GHzの電気信号を観測する実験を行った。2波長レーザの構成はInP(311)B基板上のInAs自己形成量子ドットによる量子ドット利得チップ、2波長の波長間隔を90GHzに決定するエタロンフィルタ、2波長のみを取り出すための狭帯域バンドパスフィルタとなっている。90GHzの波長間隔で発振した2波長レーザはEDFA光増幅器で増幅後、高速応答が可能なUTC-PDに導入した。UTC-PDで電気信号に変更された信号はスペクトルアナライザによりスペクトル測定を行った。測定の結果、得られた電気信号の周波数は、ほぼ90GHzであり、2波長レーザの波長間隔とほぼ等しいという結果が得られた。これにより2波長レーザを用いたテラヘルツ波発生の実証が達成できたと考えられる。本研究室では90GHz以上の高速PDがなかったため、これ以上の実証は行っていないが、原理的にはUTC-PDは出力の大きさを問わなければ300GHz程度の応答は可能であるため、300GHz帯のテラヘルツ波発生が可能であると考えられる。
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Physical Review B
巻: 95 ページ: 155301
Journal of Crystal Growth
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