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2016 年度 実施状況報告書

微細構造情報を駆使した高均一テスラ級磁場を発生するMgB2超伝導バルク磁石の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K04718
研究機関岩手大学

研究代表者

内藤 智之  岩手大学, 理工学部, 准教授 (40311683)

研究分担者 藤代 博之  岩手大学, 理工学部, 教授 (90199315)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード超伝導バルク磁石
研究実績の概要

本研究ではMgB2超伝導バルク磁石を応用展開すべく、その捕捉磁場の強力化をテーマにしている。MgB2バルク磁石の強力化には、まず緻密なMgB2バルクを作製する必要がある。我々は特別な加圧炉無しで充填率90%以上のバルクが作製可能な浸透法に着目して研究してきた。昨年度の成果から、浸透および反応過程を最適化することによって高品質かつ高い捕捉磁場特性を有するバルクが実現できると期待される。そこで、本年度は浸透および生成過程に対する知見を得ることで浸透法によるMgB2バルク作製の最適条件を明らかにすることを目的とした。焼結温度を700~900℃、保持時間を0~9時間の範囲でMgB2を作製し、臨界電流密度を測定したところ、700℃試料が最も良い臨界電流密度特性を示した。微細組織観察および組成分析から以下のことが明らかとなった。700℃試料ではMgB2の体積分率は小さい(未反応のMgおよびBが多く残存している)が、MgB2の粒サイズが小さい(ナノサイズ)。一方、900℃試料ではその逆であった。つまり、700℃試料の優れた臨界電流密度特性はナノサイズMgB2粒の粒界ピン止めによってもたらされたと考えられる。従って、焼結条件の工夫によって未反応のMgとBの反応を促進させることで更なる高臨界電流密度化が期待できる。今年度以降では熱的安定性の高い構造を考える予定であった。熱的安定性を高めるにはバルクに侵入した磁束の動きを制限すれば良いことから、MgB2バルクリングとステンレスリングが交互に配置された同心円形状のバルクを作製した。その結果、比較的低温である12Kで磁束跳躍を起こすことなくバルク中心で1.6テスラの捕捉磁場が得られた。従って、この構造が熱的安定性に寄与することが明らかとなった。ただし、今後MgB2の体積分率を上げることで捕捉磁場値を向上させる必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

浸透法によるMgB2バルクの作製条件最適化の指標を立てることが出来た。。また、2年目以降の実施予定内容の一つである高い熱的安定性を有するバルクの実現に関して、同心円構造のバルクが熱的安定性に寄与することを示すことが出来た。以上のことから上記の評価とした。

今後の研究の推進方策

概ね順調に研究を進めてきている。最終年度となるH29年度はNMR用MgB2バルク磁石ユニットの試作に向けて、浸透法によるリング形状MgB2バルクの作製を行い、実際に積層型ユニットでの着磁実験を行う。また、シミュレーションによってユニット構造の最適化を行い、実機の構成へ反映させる。

次年度使用額が生じた理由

成果発表を予定していた国際会議に参加できなかったため。

次年度使用額の使用計画

発表予定の内容を4月開催の国際会議(Intermag2017、ダブリン、アイルランド)で発表するための旅費および参加登録費に使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] University of Saskatchewan(Canada)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      University of Saskatchewan
  • [雑誌論文] Vortex pinning properties of dense Ti-doped MgB2 bulks sintered at different temperatures2016

    • 著者名/発表者名
      T. Naito, T. Yoshida,H. Mochizuki, H. Fujishiro, R. Basu, J. A. Szpunar
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Applied Superconductivity

      巻: 26 ページ: 6800805(5pages)

    • DOI

      10.1109/TASC.2016.2531426

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Potential ability of 3 T-class trapped field on MgB2 bulk surface synthesized by infiltration-capsule method2016

    • 著者名/発表者名
      T. Naito, A. Ogino, H. Fujishiro
    • 雑誌名

      Superconductor Science and Technology

      巻: 29 ページ: 115003(6pages)

    • DOI

      https://doi.org/10.1088/0953-2048/29/11/115003

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] MgB2バルク超伝導体の磁束ピン止め特性に対する微細化効果2017

    • 著者名/発表者名
      内藤智之、遠藤友理、藤代博之
    • 学会等名
      日本物理学会第72回年次大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市)
    • 年月日
      2017-03-20
  • [学会発表] Trapped field properties of MgB2 superconducting bulks magnetized by field-cooled and pulsed field magnetizations2016

    • 著者名/発表者名
      T. Naito, A. Ogino, Y. Takahashi, H. Mochizuki, H. Fujishiro
    • 学会等名
      29th International Superconductivity Symposium (ISS2016)
    • 発表場所
      Tokyo International Forum (Chiyoda-ku, Tokyo)
    • 年月日
      2016-12-15
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 浸透法で作製したMgB2バルク超伝導体の磁束ピン止め特性Ⅱ2016

    • 著者名/発表者名
      内藤智之、荻野新、藤代博之
    • 学会等名
      第77回応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟県新潟市)
    • 年月日
      2016-09-14

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公開日: 2018-01-16  

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