研究課題
反応性の観点からMgB2の作製には一般的に非晶質ボロンが用いられるが、浸透法ではバルク形状の維持のため結晶ボロン粉末が使用されている。しかしながら、非晶質ボロンを用いたMgB2の方が高いJcを示すことが知られている。そこで、今年度はより高い捕捉磁場が得られると期待される非晶質ボロンを用いたMgB2バルクの作製を試みた。得られたバルクの捕捉磁場値は結晶ボロン粉末を用いて作製した同サイズの浸透法バルクのそれより10%程度低かったが、非晶質ボロンでもバルク磁石の作製が可能であることを明らかにした。また、短時間焼結が可能な放電プラズマ焼結法によるMgB2バルクの作製を試みた。100% ex-situ (0% in-situ)バルクの20Kの捕捉磁場は1.7テスラであったが、in-situの割合を増やした50% in-situバルクの捕捉磁場は1.9テスラに向上した。両者の充填率は同程度であることから、この捕捉磁場の向上はin-situで生成されたMgB2による粒間結合性の向上に起因することを明らかにした。本研究では研究期間内で以下の知見を得た。1)Mg融液の浸透およびMgB2生成過程を巨視的および微視的に観察することで浸透法バルクの最適な作製条件を確立できた。高品質MgB2バルクの作製により浸透法バルクとしては世界最高値2.4テスラ(於15.9K)が得られた。2)MgB2粒のボールミル粉砕にはMgB2の主たるピン止め中心である粒界を増やす正の効果と結晶内に歪みをもたらし超伝導特性を低下させる負の効果があるため、機械的に微細化する場合には両者がバランスする粒径で臨界電流密度、および捕捉磁場が最大になることを見出した。
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IEEE Transactions on Applied Superconductivity
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