研究課題/領域番号 |
15K04723
|
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
宮田 俊弘 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30257448)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | Cu2O / Zn-Ge-O / PLD / ECD / n-Cu2O / ホモ接合 / 太陽電池 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究の第二段階として、以下の研究を実施した。 【①パルスレーザー蒸着法による新規なn型及びi型半導体薄膜材料の開発】 前年度の成果をベースとして、酸化物、硫化物及び窒化物を組み合わせた多元系(複合)半導体薄膜をパルスレーザー蒸着(PLD)装置を駆使して作製し、その中から優れた特性を実現できる材料を開発した。具体的には、昨年度新規に開発したn形半導体層であるZn-Ge-O複合酸化物薄膜のパルスレーザー蒸着(PLD)法による作成条件の最適化を実施した。Zn-Ge-O複合酸化物薄膜の作製条件と光電変換特性との関係を詳細に検討し、最適作製条件を明らかにした結果、変換効率8.23%のCu2O系太陽電池における世界最高変換効率を実現できた。 【②Cu2O表面へのダメージフリーな成膜技術の高度化】 前年度に引き続き、電気化学堆積(ECD)法等の化学的な成膜技術を駆使して、半導体薄膜/Cu2Oシート界面の制御技術を開発した。具体的には、ECD等の化学的な成膜技術においては、半導体薄膜/Cu2Oシート界面状態への使用する溶液のpH、温度、攪拌速度等の各種パラメータの影響を詳細に検討した結果、ECD法によるn形Cu2O薄膜のエピタキシャル成長技術を確立した。当該技術を使用して作成したn-Cu2O薄膜/p-Cu2Oシートホモ接合太陽電池において3%を超える変換効率を達成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はZn-Ge-O複合酸化物薄膜の最適作製条件を明らかにした結果、変換効率8.23%のCu2O系太陽電池における世界最高変換効率を実現できた。また、ECD法によるn形Cu2O薄膜のエピタキシャル成長技術を確立し、n-Cu2O薄膜/p-Cu2Oシートホモ接合太陽電池において3%を超える変換効率を達成した。これは研究計画を上回る成果であり、特にn形Cu2Oエピタキシャル膜の作製技術の確立は今後の研究において重要なブレークスルーであると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、当初の研究計画を一部前倒しして、n-Cu2O薄膜/p-Cu2Oシートホモ接合太陽電池のさらなる変換効率の向上、並びにヘテロ接合材料との組み合わせ等を積極的に推し進め、実用化の目安である変換効率10%以上の達成を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の消耗品購入予算を他の研究費から充当したため繰越額が生じました。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は、他の研究予算が減少しているため、繰越額は消耗品等の購入に計画的に使用する予定です。
|